「社会人になっていっぱしの大人になったつもりだったんですよ。好きなことを自由にやっても、誰にも迷惑をかけないじゃんと思って。試しにオーディションを受けてみたら受かって『もう私は役者になれるんだ!』と妄想炸裂していました。でもこれにはカラクリがあって……。そこから役者になるにはスクールへの入学が必要で、入学金が20万くらいかかるんですよね」
しかし、当時のなごみーさんはスクールに通うのは当然と受け入れ、会社を辞めて実家に帰り、スクールに通いながら役者を目指すことに。
「貯金がまったくなかったので、そこで初めて消費者金融に手を出してしまいました。後の生活費はバイトで賄えばいいと軽く考えていて。このころの私はお金について何も深く考えていませんでした」
その後、役者として舞台に出るようになったが、ギャラはなく、収入は月10万円のアルバイト代。さらに約4万円分のチケットノルマがあった。半分は捌けなかったので自腹だが、これも役者になるための必要経費と考え支払っていた。
「とあるビジネス」で、時間もお金も、友達までも減る
こういう状況になると、怪しいビジネスの話が舞い込んでくるようになる。なごみーさんにも、「とあるビジネス」の話が舞い込んだ。
「当時の私は素直というか……そのビジネスの話を聞いたときに『すごい!』って思ったんですよ。それで稼げれば役者にフルスロットルできると思い、どっぷり浸かっていきました」
もちろんそんなにうまい話はなかった。「とあるビジネス」をやることで、時間もお金も、そして友達までも減ってしまう。
「当時の私は、役者になるほうが大変なんだから、こっちのビジネスも頑張れなかったら役者として成功できないという思考回路になっていて、どんどんはまっちゃったんですよ。しかも、売り上げ達成のために商品在庫を自分で買っていました」
舞台や練習もあるため、アルバイトはあまり増やせず収入は月に10万円ほどであるにもかかわらず、チケットノルマと商品の自腹購入で、お金がどんどん減っていく。最終的に消費者金融に総額約100万円の借金をすることになってしまった。
「この期に及んでも大変なことだと思っていなかったんです。しかも、独自の工夫で返済期日を伸ばしていました。借りられる枠が100万円あったら、99万円だけ借りて、1万円ずつ返済する設定にします。そうすると、まだ1万円借りられますよね。返済期日が来たら1万円借りて入れれば、期日が延びるんです」
一時的にはしのげるかもしれないが、そんな生活は長くは続かない。消費者金融だから金利は15%くらいと高めだ。その状態にしておくと、返済額がどんどん上がっていく。借金が膨れ上がる一方だ。
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