ゆとりをもって起床し、朝の時間を確保して、便意がなくても毎朝トイレに座る習慣をつけておきたい。よい排便時のイメージを覚えておいて、普段からイメージトレーニングをしておき、毎朝トイレで試みる。それが便秘予防の第一歩だという。痔と便秘の予防には、まずは朝の過ごし方から見直そう。
痔を防ぎ、おしりにやさしいトイレの使い方についても聞いた。
理想的は排便スタイルとは?
理想としては、トイレには時間をかけず、いきまず、するりと排便できることが大切だという。
「“ロダンの考える人のポーズ”、まさにあれが理想的な排便スタイルです。あの前傾姿勢をとれば、直腸がまっすぐになるので排便しやすい。身長の低い人なら、前傾姿勢をとりやすくするために足元に台を置いてもいいでしょう」(平田医師)
トイレタイムの過ごし方はどうだろう。
トイレにはスマートフォンや本などを持ち込んで、それらを見ながら排便するのが習慣になっている、という人もいるかもしれない。平田医師によると、それは非常にリスクの高い行為だと指摘する。
「実は、便座に腰かけただけでおしり周りの血圧は150mmHgぐらいに上がります。さらに排便でいきむと200mmHgぐらいまで上がってしまう。おしりをうっ血させ続けることは痔を悪化させる直接的な行為です。トイレには長居せず、3分座っても便が出なかったらトイレから出るようにしましょう」(平田医師)
シャワートイレの普及で、シャワートイレの使用がトイレ習慣の1つになっている人も多いだろう。
注意すべきは、シャワートイレの水流の刺激で排便を促すクセがついている人だ。シャワーの刺激に依存すると、シャワーなしには排便できなくなるという。排便後に長く洗う人も肛門周辺に強い刺激を与えてしまい、結果、粘膜を傷めて痔になりやすくしてしまう。
ただし、「シャワートイレの使用自体は悪くない」と平田医師。要はその使い方次第なのだという。
「汚れは水で洗ったほうがよく落ちます。ゴシゴシとトイレットペーパーでこするよりもいい。おすすめは、できるだけ弱い水圧モードにして5~10秒程度おしりを洗う。その後は紙でやさしくポンポンと水分を拭う。そうした使い方なら粘膜を傷つけず、問題はないでしょう」(平田医師)
便秘を防ぐには食生活の改善も必須となる。とくに食物繊維の多く含まれた食材を摂ることが重要だ。
食物繊維には不溶性食物繊維と水溶性食物繊維の2種類がある。
不溶性食物繊維は腸に刺激を与え、腸の蠕動運動を促して便秘を防ぐ。水溶性食物繊維はほどよく水分を含んだ理想的な軟らかさの便を出すのに役立つ。便秘予防にはどちらの食物繊維も大切だ。
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