例えば、1990年当時のアメリカにおけるトップ企業は、IBM、GE、エクソン、GM、AT&Tといったところであった。それが今では、アップルにマイクロソフトにアマゾン、アルファベット(グーグル)にエヌビディアである。
30年でトップ企業がすっかり入れ替わっている。これぞアメリカ経済の活力というもので、ちょっとまねができない。たぶん30年後には、まったく新しい企業に入れ替わっていることだろう。
直近のアメリカ経済指標を確認してみよう。4~6月期のGDP成長率(速報値)は年率2.4%成長である。7月の失業率は3.5%である。そして、10日の夜に発表されたばかりのCPI(消費者物価指数)は前年同月比3.3%の上昇であった。見事に3%前後で数字がそろっているではないか。
強靭なアメリカ経済に「フィッチの一撃」
ところが、ここ数年のアメリカで起きたのは以下のような出来事なのである。
これだけたくさんの試練にもかかわらず、足元の経済指標は極めて良好である。実際にFRBのジェローム・パウエル議長は、アメリカ経済のソフトランディングに向けて自信をのぞかせている。つまり、景気後退を避けながら、インフレを克服できるというのである。いやもう、なんというレジリエンス(強靭さ)であろうか。
ところがところが、だ。8月1日、格付け会社のフィッチ・レーティングスはアメリカ国債の格付けを「AAA」から「AA+」に格下げした。「なぜ今頃?」ということで、世間の評判は芳しくない。ホワイトハウスは反発しているし、そうそうたるエコノミストたちが疑義を唱えている。
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