「二度あることは、三度ある」ということわざがある。確かに、人生には3回起こる出来事が少なくない。
だが、これがわざわざことわざであることの意味は、「2回起こったことは、3回目が起こりやすいのだから、気をつけなさい」ということだ。
その前提として、出来事が2回起こったくらいでは、3回目が続くことを十分に想定しないものだ、という人間心理に対する洞察がある。そして、同じことが3回続くと、「これは続けて起こることなのだ」という印象が形成される。
3%、4%の物価上昇が続くほうがむしろ好都合
これを物価に当てはめると、どうだろうか。
インフレ目標の2%を超えるような物価上昇があり、これに追随しようとする賃上げがあり、それが3回、つまり3年くらい連続しないと、多くの国民が「物価は2%程度は十分に上がるものだ」と思うようにはなるまい。流行の用語を使うと、日本人の物価に対する「ノルム」(規範や慣習)が変わるには、その程度の繰り返しが最低限必要だろう。
「2%」の物価上昇が普通であると思われるためには、3%、4%といった上昇がそこそこ続くことは、危機であるというよりも、国民の物価認識を改訂するためにはむしろ好都合だろう。
ただし、物価上昇を普通のことだと国民に受け入れてもらうためには、十分か不十分かはともかくとして、物価を追う賃金上昇が必要だ。いわゆる「賃上げと物価上昇の好循環」が、少なくとも目指す姿として目に見える必要がある。
賃上げが、来年、再来年と続くかどうかは、やってみないとわからないし、それを確認しないと国民は安心しないだろうという問題はある。
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