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筆者は最近近づいていないが、東京の新橋は「オヤジ・インタビューの聖地」である。駅からすぐのSL広場あたりを無目的にぶらぶら歩いていると、報道機関のカメラクルーに声をかけられるかもしれない。
街頭インタビューで電気代の話になったらどう答える?
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報道「ちょっと、いいですか。最近の物価についてどう思われますか」
山崎「上がっているね。こんな店でもと思うようなところも含めて、あちこちで値上げしている」
報道「生活にいちばん影響を感じるのは、何の値上げでしょうか」
山崎「それは、電気料金だね。金額が大きいから」
ここまでなら、通行人の言葉として、何秒かテレビ画面に映るかもしれない。電気料金は旬の話題だ。6月1日から、全国の複数の電力会社で電気料金が値上げされた。地域によって差はあるが、いずれも大幅だ。
だが、次のやり取りがあると、きっと放送されないだろう。
報道「政府には、何を望みますか」
山崎「電気料金を自然に任せてもっと上げることだね。だって、理由があって上がっているのだから」
街頭インタビューは、インタビューする側の期待と理解に合わせて行われて、採否が決定する。そもそもニュースに使う価値などない。ただの演出であり、時には情報操作に使われている疑いさえある。クルーが期待していない、あるいは理解できない答えは採用されない。
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