今、世界では3つの「同時多発『ヤバい』」が起きている。
「3つの事件」の影響は深刻だ
ヤバいその①:アメリカのファースト・リパブリック・バンクが5月1日に破綻した(日時はことわりのあるものを除き現地時間)。「しかし、JPモルガン・チェースが買収した。金融システムは大丈夫だし、金融市場もこれで落ち着く」という有識者のコメントが「ヤバい」。
これはまったくの間違いだ。これからアメリカ、そして世界の金融市場は静かにどんどん悪くなる。
ヤバいその②:5月3日にFED(アメリカの中央銀行)が、0.25%の利上げを発表、「今後の利上げに対しては中立的」というメッセージを出した。だが、株式市場や債券市場関係者の多くは、それでも「今後は年内に利下げに転じるはずだ」と解釈している。これもまったくの間違いだ。
つねに願望で動く株式市場が、わざと誤解して盛り上がっているのはいつもどおりだが、合理的で理論派のはずの債券市場も、理屈でなく願望で動いており、利下げ願望を織り込んでいる。債券市場の投資家まで願望で動いているのは相当ヤバい。株式・債券の暴落は今後何度でも起きる。
ヤバいその③:日本銀行の植田和男新総裁がすばらしい人物であることは私も知っている。だが、植田新総裁という人物および、彼の初の金融政策決定会合後の記者会見を、世間が現状であまりに礼賛しているのがヤバい。
彼がどんなにすばらしい人格者だとしても、どんなに優秀でも、それと無関係に、日本経済も日本金融市場も国債市場もすでに事実として追い込まれており、身動きできない。「ソフトランディング」はできない。その事実からほとんど目をそらしているに等しい日本社会、日本の論壇がヤバい。
今挙げたように、この1週間前後のうちに、ほぼ同時に起きた「3つの事件」の影響は深刻で根深い。なぜなら、こんなにも重要な3つの問題が同時に噴出したのに、投資家たちは、目をつぶるばかりか、正反対の楽観的な方向に解釈して逃げ切ろうとしているからだ。
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