3つの「世界同時多発『ヤバい』」が起きている 実はアメリカよりも日本のほうがもっと深刻だ

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そもそも、今回の銀行破綻の原因は何か。「これから『防ぎようのないバブル崩壊』が長く続く」(3月25日配信)でも触れたように、非常に古典的な取り付け騒ぎである。いわば、19世紀からずっとある取り付けによるものだ。インターネットによってそれが1日とかからずに破綻まで追い込んだ点を強調するのはミスリーディングである。

「ネットやSNSの情報に敏感な預金者の多い銀行」「預金保険でカバーされない大口の預金者」「金融市場の動きに敏感な富裕層の預金者」といった特徴が語られているが、それはあくまで目につく現象にすぎず、本質は「ただの」単純な取り付けだ。だから、すべての銀行に起こりうる。

SVBやファースト・リパブリック・バンク、あるいはそれらに似た銀行の問題ではなく、預金取り扱い金融機関のほとんどすべてに、すでに起きている問題だ。実際、ほとんどの銀行で預金は減っている。預金を移す先はMMF(マネー・マーケット・ファンド)など、市場性資金で運用される金融商品、金融機関である。

FEDが短期政策金利を5%に上げる一方で、長期金利は3%台半ばなのだから、こうした預金者の動きは当然だ。逆に言えば、文字どおりの預金をこれまで受け入れてきた金融機関は、すべて影響を受けている。

だから、銀行経営者としては、対応策としてはほぼ何をしても無駄だ。ALM(資産と負債の総合管理)などのマッチングをしたところで、根本的には解決できない。だから、生き残るには増資か合併くらいしかなく、持っていた長期債券の価格下落の分を吸収するために資本を厚くする以外手段はない。

つまり、経営者は普通に王道の反応をしており、また預金者もとりあえず預金を移すか、預金保険でカバーされる部分は無理してまで移さない。これは妥当な反応で、預金はある程度の水準で減っていく。その一方、株式投資家はただのゲームを行っているのだ。

低金利ですべての金融資産のバブルが膨らんでいた

以前にも書いたように、今回の銀行危機は、取り付け騒ぎが直接の要因であり、根底の原因は金利上昇だ。

まず取り付けは、うわさが出ればどこの銀行でも起きてしまう。SVBの破綻の主因は、経営の巧拙ではなく、SVBのこれまで置かれてきた状況(シリコンバレーバブルの渦中にいた)にある。だから、破綻は必然で仕方がない。

FRBや政府の監督責任はあるが、彼らのミスが理由で起きたわけではない。もうちょっと早く、あるいはうまく対処できたかもしれないが、いずれ破綻しただろう。

一方、すべての銀行に取り付けが起きて当然なのは、短期政策金利が急速に急激に引き上げられたからだ。

ほとんどすべての金融商品の価格は、金利と逆相関の関係にある。今まで上昇していた商品は「もともと金利が低いから」「低い利回りでも十分だから」、それに見合うように価格が上がってきたのだ。

だから、金利が上がれば、あっという間に価格は下がる。損失が出る。これは避けられない。これまでの金利が低すぎ、それがあまりに長期にわたって続きすぎたから、すべての金融資産のバブルが膨らんでいた。もしバブルというのが嫌なら、大幅に割高になっていただけだ。

それが正常化する、つまり下落する。だから、この損失は、これまで儲かった分を吐き出しているだけであり、必然なのだ。

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