3つの「世界同時多発『ヤバい』」が起きている 実はアメリカよりも日本のほうがもっと深刻だ

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そして実際、市場はこの楽観的な願望解釈をもとに動き始めたからだ。これらの問題はどうやっても解決することはできず、ダメージを甘受するしかないという意味で深刻である。

しかも、それに目をつぶるだけでなく、「逃げ切れる」と思い込み、かつ実際に行動しているのが投資家だ。本来なら投資家は社会において最もリスクに敏感で、慎重で、かつ正確に判断すべき人々のはずだ。実際に過去は何度となくそうしてきたはずの人々が、最もリスクに目をつぶっている。

だから、この世界金融市場は今、救いようのない末期的状態にある。今後、政府や中央銀行が何をしようと救いようがない。そして、こうした状態は21世紀になってすでに20年以上そうであり続けている。2008年のリーマンショックを経験してもなおこりていないという意味で、根深い。

それゆえ、現在はある意味、最も危険な危機状態でないか。これから、リーマンショックのような派手なバブル崩壊劇は起きないかもしれない。だが、より厳しい、苦しい、長期の低迷・停滞が、経済と金融市場を覆い続けることになるだろう。

預金者の反応は「まとも」

冒頭の「3つのヤバい事象」を、もう少し詳しく見てみよう。

まずは、一連のアメリカの銀行破綻の件だ。冒頭でも触れたとおり、ファースト・リパブリック・バンクは破綻後、JPモルガン・チェースが買った。

「JPモルガンが預金をすべて引き継いだから、預金保護に関する混乱は起きなかった。そして、3月のシリコンバレーバンク(SVB)の破綻後、『次はファースト・リパブリックだ』と言われていた。今回の破綻処理で、くすぶり続けていた問題の処理が終わったのでひと安心」というのが株式投資家の解釈だ。

実際、地銀株は下落しているが、NY(ニューヨーク)ダウやナスダック総合指数などで見た株式相場は、3月の銀行危機のときよりも上昇している。これが多くの投資家の判断だ。

しかし、メディアや経営者、そして預金者の反応のほうが断然まともだ。例えば、3日に行われたジェローム・パウエルFRB(連邦準備制度理事会)議長の記者会見のわずか1時間後、ブルームバーグなどはカリフォルニア州が地盤の地銀パックウエスト・バンコープが身売りや増資などの検討を進めているなどと報じた。

この銀行の預金は1~3月期に約17%も減少。2月中旬まで1株30ドル弱あった株価が3月に暴落、さらにこの報道を受けて3ドル台になっている(5月4日)。

株式市場はSVB破綻後、1つずつ危険とされる地銀にターゲットを定めて、株価を暴落させている。いわば、類似点を探す連想ゲームをしている。しかし、問題は個別の銀行にあるわけではない。

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