FEDに続き、ECB(欧州中央銀行)も4日、0.25%の利上げを発表した。これに対しても、今後、投資家たちは自分たちにとって都合よく解釈してくるだろう。
このコラムでも何度か触れてきたが、FEDもECBも、株式市場のために行動することは絶対にない。そして「金融システム不安」と「インフレ対応」は分業されている。前者は政府が、そして後者こそ中央銀行が行うことであり、それぞれが、自分の役割を最優先に行動する。
しかも、現在は過去の約40年間を通じて最大のインフレリスクが到来している。インフレ対応を最優先する以外の選択肢は中央銀行にはない。
だから、銀行不安に対応してFEDが利下げすることはありえないし、ECBもまずインフレを抑えることを何よりも優先する。そして、景気後退はやむをえない。
今年の利下げはありえない
投資家は「何が何でも景気後退を回避することが善であり、それをあきらめることはとてつもない罪である」といったごとく中央銀行を攻撃する。だが、それはまったくの間違いだ。
そもそも、景気後退は景気循環だから、必ず起こる。よくなったあとは悪くなる。悪くならなければよくなれないし、経済成長も経済発展は起きない(これが大経済学者だったヨーゼフ・シュンペーターのライフワークだった)。
だから、FEDは景気後退を甘受するし、実際、景気後退は必ず起きる。これを避けるためにバブルを再度作るというのは、異常な発想だ。
したがって、利下げは今年は絶対にありえない。失業率が低い以上、FEDがインフレ以外に見るものはない。景気はもちろん、株式市場のことなど1ミリも考えていないのだ。
さて、上述してきた「2つのヤバイ」だけでもうんざりだが、3つ目の「日本のヤバイ事件」は、さらにひどい。個人的にも大きなショックだった。なぜなら、植田新総裁は、いわば「金輪際、正常化は行わない。現状の金融緩和政策を変更しない」と宣言したようなものだったからだ。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら