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日銀の植田総裁は静かに闘っているかもしれない 「まったく動こうとしない姿勢」の裏にあるもの

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植田総裁の方針に対する典型的な批判は以下のようなものだ。「利上げの判断が遅れた米国と同じ失敗をするのではないか」「早めの対応で2%目標未達となるコストは、日銀が思うほど大きくないだろう」「デフレに戻る可能性は低い」「視点を国民の生活に移せば、物価高の不満も依然として大きい」(いずれも『週刊ダイヤモンド』6月24日号21ページの須田美矢子・キヤノングローバル戦略研究所特別顧問の「数字は語る」より)。

対策を取るとすれば、典型的には利上げによって需要を抑制して景気の減速を図ることになる。いわば今のフィリップス曲線上の点のより左側の位置への誘導を目指すことになるが、植田総裁はそうはせずに「待つ」つもりなのだろう。

例えば、2年後に、先の須田氏の批判が当てはまるような状況、すなわち、昨今のFRBのように大慌てで利上げするドタバタ状態に日銀が陥る可能性はゼロではない。

また、財務省の官僚、日銀のOB、学者(職業的には主に大学教師)、多くの経済メディア関係者は、給料、雇用が景気によって危うくなることはないし、彼らの相対的な社会的ポジションはむしろデフレのほうが改善するし、生活の実感としては物価が上がらないほうが好ましいのだろう。

彼らの場合、物価が上昇した場合の給料の追随は、やや遅行傾向が予想される。したがって、金融政策にあれこれコメントする人々は、財政は緊縮好き、金融政策は引き締め好きで、為替は円高好きの傾向がある。心の底では「2%」よりも「0%」が好きだ(たぶん)。

植田総裁は「腹をくくっている」かもしれない

これから、とくに物価上昇率が2%を超えている場合には、小うるさい彼らからの政策変更催促の相手をしなければならないことを思うと、植田総裁の「待ち」の姿勢にはなかなかの胆力が必要なことがわかる。

本持ち回り連載で前回登場した小幡績・慶應義塾大学大学院教授の評価によると、植田総裁はもはや「闘う男」ではないとのことだったが、筆者にはむしろ「腹をくくって闘っている」ように見える。

読者には、どう見えているだろうか?

(本編はここで終了です。次ページは競馬好きの筆者が週末のレースを予想するコーナーです。あらかじめご了承ください)

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【さて競馬。上半期最終G1「宝塚記念」の勝ち馬は?】

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