「アメリカ国債格下げは間違いだ」と言い切れるか このままではせっかくの強いカードが台なしだ

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「財政責任法」の法案成立を前に、バイデン大統領は「危機は去った。アメリカの未来は守られた」と国民に語りかけた。本当だろうか(写真:ブルームバーグ)

その昔、1992年頃のワシントンにはこんなジョークがあった。

この連載は競馬をこよなく愛するエコノミスト3人による持ち回り連載です(最終ページには競馬の予想が載っています)。記事の一覧はこちら

時の大統領はブッシュ・パパ(ジョージ・H・Wブッシュ)である。1991年春には湾岸戦争で完璧な勝利を収め、支持率は90%にも達した。

この分なら「来年は楽に再選だな」と誰もが思っていたところ、アメリカ経済が急速に悪化し始めた。それとともに政権支持率も急低下。まさかと思っていた民主党のビル・クリントン候補が、気づいたら結構な人気になっている。

たくましく復活したアメリカ経済

ブッシュ・パパ大統領は日々、経済指標を見ながらおろおろしていたが、ある日とうとう、心労で倒れて昏睡状態になってしまった。数年後、眠りから覚めた大統領は周囲に尋ねた。

「おい、今のアメリカ経済はどうなっている? 成長率は?」
「GDPは3%です」
「おお、それはいいじゃないか。失業率はどうだ?」
「失業率も3%です」
「おお、ますますいいじゃないか。ところでインフレはどうだい?」
「CPIも3%です」
「おお、すばらしい。アメリカ経済は見事に復活しているじゃないか。……ところで君、念のために聞くけれども、街でコーヒーを飲むと1杯いくらだね?」
「はい、300円です」

つまり、アメリカ経済は日本に乗っ取られておりました、ジャンジャン! というのが「オチ」である。つくづく時代を感じるよね。

その後の日本経済はバブル崩壊後の迷走が続き、約30年後の今では300円ではスターバックスのコーヒーも飲めなくなってしまった。逆にアメリカ経済は、その後もリーマンショックなどの危機を乗り越えて、たくましく復活している。

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