「介護のために退職」で陥る負のループが恐ろしい "ビジネスケアラー予備軍"から知識で備えよう

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ただ、こうした窓口は、介護保険課、高齢・障害支援課、高齢福祉課、高齢福祉介護課、高齢者いきいき課……という具合に、名称がバラバラです。それぞれの介護にかける想いを、担当部署の名前にしているからです。

統一されていないので、かえって分かりにくかったりもしますが、それぞれに独自の介護支援を提供しています。

介護のおトク情報を得る旅は、親の暮らしている市区町村の役所の受付で「介護の相談がしたいのですが」と言ってみることから始まります。

遠距離介護の場合は、まずはインターネットで確認したり、電話をしたりしてみてもよいでしょう。

「介護は素人」だから相談すればいい

何度もお伝えしますが、自らのことを「介護の素人」として認識し、介護のプロに相談することをためらわないでください。そうして相談することだけが、仕事と介護の両立、ビジネスケアラーの道を実現するための必要条件なのです。

また、どこの自治体にも、「地域包括支援センター」という介護や医療福祉について相談できる総合相談窓口があります。だいたい人口2万~3万人に1カ所(一般的に中学校区域)程度設置されています。

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自治体の介護窓口だけでなく、地域包括支援センターにも足を運んでみることも強くオススメします。「えっ、そんなサービスがあったの?」「えっ、そんな支援があったの?」という発見が、きっとあると思います。

この背景には、自治体の相談窓口は、数年で部署異動をすることの多い公務員によって運営されているのに対して、地域包括支援センターの多くは、民間の信頼できる介護事業者に委託されていることが多い(約8割が民間委託)ことがあります。

自治体の窓口を担当している公務員と、地域包括支援センターにいる介護のプロの両方のアドバイスを受ければ、それ以上の支援はありません。

とにかく、介護はそれぞれに個別性が高く、ビジネスケアラーとしてうまく仕事と介護を両立させるには介護の専門知識を持っている人によるアドバイスがどうしても必要なのです。

酒井 穣 株式会社リクシス 取締役副社長CSO

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さかい じょう / Joe Sakai

1972年、東京生まれ。慶應義塾大学理工学部卒。Tilburg 大学 TIAS School for Business and Society 経営学修士号(MBA)首席(The Best Student Award)取得。商社にて新事業開発、台湾向け精密機械の輸出営業などに従事後、オランダの精密機械メーカーにエンジニアとして転職し、オランダに約9年在住。帰国後はフリービット株式会社(東証一部)の取締役を経て、独立。複数社の顧問をしつつ、NPOカタリバ理事なども兼任する。主な著書に『新版 はじめての課長の教科書』(ディスカヴァー)、『「日本で最も人材を育成する会社」のテキスト』(光文社新書)など。

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