「介護のために退職」で陥る負のループが恐ろしい "ビジネスケアラー予備軍"から知識で備えよう

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特定の目標を共有する集団のサイズは、それが大きくなるにつれて、集団の構成員1人あたりの能力発揮が劇的に低下するということです。

これは、非常にショッキングな事実であっただけでなく、なんとなく誰もが知っていたことでもありました。そのため、この事実はリンゲルマン効果(リンゲルマン現象)として世界的に有名になったというわけです。

当然ですが、介護の現場においても、このリンゲルマン効果を観察することが可能です。むしろ介護は、多くの人が本音では「関わりたくない」と考えていることです。ですから、介護の現場におけるリンゲルマン効果は、当たり前に見られる現象なのです。

介護によって仕事を辞めてしまう人は、それが、自分が生活保護を受給することになるほどリスクのある決断だということを、そもそも理解しているのでしょうか。

非常に重い決断なのですから、決断をしてしまう前に、周囲の誰か、特に介護に詳しい人に相談すべきことです。

約半数が相談せず離職を決断

ここに関して、毎日新聞の報道(2017年5月20日『介護離職「相談せず」48% 決断前の情報提供が課題』)があったので、そこから一部引用します。

介護を理由に正社員から離職した人に「離職直前に介護と仕事の両立について誰かに相談しましたか」と聞いたところ、「誰にも相談しなかった」が47.8%に上ることがみずほ情報総研(東京)の調査で分かった。(中略)
離職の理由(複数回答)は「体力的に難しい」が39.6%で最多。「介護は先が読めず見通しが困難」が31.6%、「自分以外に介護を担う家族がいなかった」の29.3%が続いた。
あれば仕事を続けられたと思う支援策(複数回答)は、「介護休業を取りやすくする」27.0%、「上司や人事部門の理解と支援」25.5%、「有給休暇を取りやすくする」24.3%、「残業が少ない」21.7%などが挙がった。

約半数の人が、誰にも相談せずに、離職する決断をしているというのは、非常にショックなことです。しかも、ここで離職の理由とされていることは、介護サービスに関する知識があれば、かなりの程度、解決できてしまうことです。

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