介護をしながら働く「ビジネスケアラー」は今後ますます増えていくと予想されています。しかし現実に仕事と介護の両立には多くの時間と労力が必要で、仕事の取り組み方を見直さざるを得ない人も多いものです。
もしも親の介護と昇進のタイミングが重なったら、あなたはどのような選択をするでしょうか。酒井穣氏の著書『ビジネスケアラー 働きながら親の介護をする人たち』から一部を抜粋・編集のうえ、親の介護と仕事の向き合い方について考えてみます。
介護を理由に昇進をあきらめる人たち
介護は、基本的には、誰もが、定年までには巻き込まれるイベントになってきています。現役世代1人あたりが関わる高齢者の数が、これから、劇的としか言えない速度で増えていくからです。
介護の始まるタイミングが悪いと、中間管理職への昇進をあきらめたり、場合によっては役員のオファーを断ることになるケースもあるでしょう。あまり、表には出ませんが、そうした場面に直面した人を、私は複数人知っています。
経営者や人事は、これを問題として考えてはいます。しかし、何か本質的に有効な対策が取られているわけではありません。どんなに支援の重要性を言いたてたところで、組織のリーダーになっていくということは、その責任と報酬に見合った犠牲が強いられるのは、仕方のないことだからです。
ここ一番のトラブルで、ビジネスの現場にいられないことは、責任をまっとうできないことにもなります。そうしたことを考えると、介護が始まるタイミングによっては、どうしても受けられない昇進や昇格というのが(今はまだ)存在してしまうのです。
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