急増する「ビジネスケアラー」、支援策の大誤解 逆効果で介護離職の後押しにつながりかねない

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2024年10月に開催された「ビジネスケアラーカンファレンス2024」
2024年10月に開催された「ビジネスケアラーカンファレンス2024」には多くの企業の人事関係者が詰めかけた(写真:チェンジウェーブグループ)

現状のままでは、2030年における経済損失は実に9.2兆円に上る──。経済産業省が24年に公表した「仕事と介護の両立支援に関する経営者向けガイドライン」で示された、介護に起因する経済損失額の推計だ。

可視化されにくい大問題

超高齢社会の日本において、仕事をしながら家族などの介護を行う「ビジネスケアラー」は、増加の一途をたどる。30年には家族を介護する833万人の約4割、318万人に達すると予想される。注目すべきは推計における経済損失の内訳だ。この問題の本質と思われがちな「介護離職」はほんの1割程度にすぎず、一方でその大宗の7.9兆円を占めるのが、仕事と介護の両立が困難なための、労働生産性の低下によるものだ。

労働生産性の低下は、離職者数と違い一目でわかるデータがないだけに、可視化されにくい。正解も成果もわかりにくいから、経営陣から優先順位が低いテーマとみられがちだ。結果、取り組みも進まず、リテラシーも向上しないという負の連鎖が、多くの人事部門担当者たちを悩ませている。

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