親の介護は、このビジネスというフレームを、確実に無意味なものにします。長い年月をかけて最適化してきた環境も、大きく変化します。そして、過去に積み上げたことが無駄になったりもします。
しかしこのとき、私たちの内部で燃え続けていた「なんとも表現しがたい不安」の原因も明らかになるでしょう。ここで「ビジネスは、人生のほんの一部にすぎない」という当たり前の事実の認識が起こるからです。
私たちは、ただ幸せに生きたいだけなのです。そして私たちの幸せは、愛する家族が笑顔のうちに生きられることにも大きく依存しています。
そうした視点を獲得し、今一度ビジネスや介護について深く考えてみたとき、それらは(やっと)自分の幸福のために、どちらにも偏りすぎることなく最適化すべきものとして新たに立ち上がってくるのです。
介護は「重要な変化のチャンス」
ビジネスの世界で認められ、もっと偉くなりたいという価値観への過度な依存は、最も危険で、私たちから自由を奪うものです。その価値観の中では、他のすべての物事が、自分が偉くなるための手段になり下がるからです。
それは、私たちにとって最も重要な「愛」という視点を失うということと同義です。私たちにとって、偉くなることは、愛する人々と幸せに生きるための手段だったはずです。
しかしいつしかそれが目的になってはいなかったでしょうか。それこそ「なんとも表現しがたい不安」の根幹ではないでしょうか。
親の介護は、子どもの人生が親の犠牲になるという話ではなく、親が子どもに与えてくれる重要な変化のチャンスかもしれないのです。
親は自分の人生の最後の時間を使って、矮小で間違ったフレームにとらわれている自分の子どもを揺さぶり、子どもに真の自立をもたらすのだと思います。
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