とはいえ、少しずつではあっても、介護をしながら働くビジネスケアラーが増えてきています。その中で、介護に対する社会全体の理解が深まっていきます。そして介護をしながら、普通に昇進や昇格をしていけるような社会になるのは、その後の話になるでしょう。
本当に先進的な企業は、正しい方向に社会を変えるために、リーダーシップをとって、こうした環境を自ら先取りできるものです。ただ、自分がそうした企業の従業員である確率は、決して高くはないと考えるべきだと思います。
現実的には、介護が始まれば、管理職への道はいったん忘れ、仕事と介護が両立できる環境の整備に集中することも検討してみる必要があります。運よく介護が安定するまでの期間が短ければ、また再び管理職を目指すことも可能になるでしょう。
ただ、そもそも先が見えないのが介護の特徴でもありますから、それほど楽観的にもなれません。
見えない未来を、自分に都合よく解釈して、それを前提にキャリア設計するのは、やはり無理があります。最悪のケースを想定するのも、ビジネスでは常に必要な態度でしょう。
「介護とは何か」伝えられる存在に
であれば、介護が相当な負担になる場合、どう介護離職を回避し、両立させていくかという具体的な戦略が求められます。
とにかく仕事だけは、なんとしても続けないと、介護も続けられなくなります。介護を理由とした退職は、よい結果にはなりません。ビジネスケアラーの道を選ぶべきです。
であれば、介護の必要があるのなら、管理職としてのキャリアではなく、むしろスペシャリストとしてのキャリアを考えていく必要もあるでしょう。
特定分野の専門家として、いざとなれば独立できるようなレベルで、特定の知識を積み上げていくことが、離職のリスクを下げます。
介護の対応で出社できないとき、細切れの時間であっても、資格の勉強などをしておきましょう。個人として、社内外の人からの信頼を得て、豊かな人脈を築いておきましょう。
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