「税は財源じゃない?」100人の島に例えて解説 債務が増えても、国に力があれば危機ではない
なぜ貨幣には価値があるの?
では、なぜ貨幣には価値があるのか。
国の信用貨幣の価値は、どうやって保証されているのか。それは「税と暴力」の存在によります。
想像しやすい例を考えてみましょう。
今回はわかりやすく腕っぷしの強い西遊記の孫悟空に例えて解説します。
※文中に登場する例え話は、仕組みをざっくり説明するためのものであり、歴史的順序などは現実とは整合しません。ご了承ください。
あるとき、無人島に100人が流れ着きました。
100人のうちの1人に、孫悟空がいます。孫悟空は言いました。
「ここはオラの島にする。みんな幸せに暮らせるようにしてやるから言うことを聞け」
孫悟空はものすごい戦闘力なので、他の99人は誰も逆らえず、
「おめえら5人はオラの部下として働け。さもないとぶっ飛ばすぞ」
「おめえら、米を30kgくれ。さもないとぶっ飛ばすぞ」
「おめえらはそこにダムを作れ。さもないとぶっ飛ばすぞ」
と言われるままに動きます。
そうやって島が運営されていきました。
孫悟空は、ある時からやり方を変えます。オリジナルのお金を生み出すことにしたのです。
みんなの前で紙切れに「1エン札 by孫悟空」とハンコを捺(お)し、「オラのハンコじゃないと駄目だからな、偽物作ったやつはぶっ飛ばす」と言い、
さらに「これからこのエンをこの島の通貨にする。1エンを税として毎年オラに払え、さもないとぶっ飛ばす」と言いました。
このとき、
孫悟空にぶっ飛ばされない券。税として払って、「自由」を受け取ると消滅
<債権者>
券を持っている人
<債務>
税としてエンを払った人をぶっ飛ばさない義務
<債務者>
孫悟空
という図式になるため、ぶっ飛ばされたくないほかの住民にとって、エンは価値を持ちます。
つまり、冒頭の肩たたき券同様「お金」として機能するのです。
しかし最初の段階で、孫悟空から「さあ、今年度の予算が欲しいから、税収だ! エンを渡せ」
と言われたら、どうでしょうか? もちろん渡せません。
誰もエンを持っていないからです。
だからまず「孫悟空がエンを作る」のが先です。
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