「税は財源じゃない?」100人の島に例えて解説 債務が増えても、国に力があれば危機ではない
“債券”を理解するために、「債務」の仕組みを説明します。
経済学における債務(負債)とは、なにかをしなきゃいけない義務のことです。
英語では「Debt」と言います。
私たちはふだん「債務を抱えている」と聞くと、「毎月100万返済する義務」のように「ヤバいもの」をイメージしがちですが、そうとは限りません。
「債券」と「債務」
肩たたき券の例で言えば、「太郎くんには、肩たたきをしなければいけない義務」があります。それを「債務」と言い、太郎くんは「債務者」になります。
そして「肩たたきをする相手」が「債権者」で、その債務を果たしてもらう権利を持っています。
つまり“債券”とは「債権を書類化」したもの。
いわば「この券の持ち主が“債権者”だという証明券」のようなものです。
整理をすると、
資産Xをもらえる券。資産Xを受け取ると消滅。債券の持ち主が債権者。
<債務>
債務者が債券を持っている人に、資産Xを渡す義務。
<資産X>
債務者の資産。モノでも、「肩たたき」のようなサービスでもいい。
肩たたき券も「資産」です。
太郎くんに、「人生で10000回肩たたきを施術できる体力」にあるとすれば、目には見えませんが、太郎くんは「肩たたきというサービスを施術する能力✕10000」という無形資産(実体の無い財産)を持っていることになります。
太郎くんが事故で両手を失い、明らかに「肩たたきをする能力」を失った場合、人々は「太郎くんは肩たたきをするという義務を果たせないだろう」と考えます。
つまり「太郎くんは債務を履行できない(債務不履行)」状態となり、太郎くんの肩たたき券は紙切れになります。
というわけで、“債務”とは「債権と対になって生まれる義務」にすぎません。
ラーメン1杯無料券も、債券の一種として説明できます。
債券…「ラーメン1杯をもらえる券。ラーメン1杯と引き換えに消滅」
一般的にラーメン屋は、十分なラーメンの在庫・提供能力を持ち、廃業しない限り債務不履行になる危険は低いため、消費者は安心してラーメン1杯無料券を使えます。
ラーメン1杯無料券(債券)は、持っている私たちにとっては資産ですが、ラーメン屋にとっては債務です。
これと同じように、デパートの商品券やネット通販サイトの「ポイント」なども債券として説明できます。
このように、お金として機能する債券のことを「信用貨幣」と言い、債務者の「債務を果たす能力」が信用できる限り、債券は価値を持ち続けます。
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