シニア狙う「電話使った特殊詐欺」その驚く手口 国や大手キャリアの強化対策で詐欺撲滅なるか

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

特殊詐欺はなかなか減らない。警察庁によると、2022年の被害額は、前年より88億円増の370億円で、8年ぶりの増加に転じた。

例えば、2000年代初頭から話題になった、家族を装う電話をかけてくる「オレオレ詐欺」。すでに全国での啓発活動が活発に行われ、いまどきこんな電話に引っかかる人がいるわけがないと思う人も多いだろう。しかし、2022年のオレオレ詐欺被害額は129億円(警察庁公表)と、特殊詐欺被害額の中で最も大きな割合を占め、いまだ被害者が減ることはない。

また、昨今は広域強盗事件、いわゆる「ルフィ事件」も問題となった。ルフィ事件の指示役は複数の特殊詐欺にも関与していたという。

最近の犯行グループは、まず「アポ電」を仕掛けることがある。ターゲットの在宅状況や資産を確認するため事前に電話でコンタクトを取るものだ。

例えば、「犯行グループの名簿にあなたの名前が載っている」などと不安をあおり、「今、自宅に家族はいるか?」など、在宅状況や資産状況、家族構成などを言葉巧みに聞き出すのである。金銭を要求される電話ではないため、うっかり回答してしまう人もいる。電話口で安易に応じるのは、もちろん危険だ。

犯罪に使われる「電話番号」の変化

電話が、特殊詐欺や強盗等の犯行のきっかけとなることは多い。当社で、月毎に新たに出現する迷惑電話番号の動向について調査したところ、電話の発信元に変化が見られた。

これまでは固定電話番号(03などいわゆる0ABJ番号)が多かったが、2022年9月ごろから徐々に050番号が増えはじめ、その割合が逆転したのだ。2023年4月に新たに出現した迷惑電話番号は、固定電話番号よりも050番号が約9倍多かった。

迷惑電話番号の動向変化
(図:トビラシステムズ株式会社作成)

また、調査対象の050番号の中には、サポート詐欺や架空料金請求詐欺などに使用された可能性があるものも多数見つかっている。未納料金があるなどとウソをつき金を騙し取る「架空料金請求詐欺」は、警察庁調べで、2023年5月末時点で2055件が認知されており、前年同期比2倍となっている。

当社の調査員が、架空料金請求詐欺の番号へ騙されたふりをして応答調査を行った際には(「【詐欺音声】不審なSMSの番号に電話してみたら驚くほど丁寧な説明で架空料金を請求された!」)、某大手企業のカスタマーセンターを名乗る男性が「有料サイトで未納料金が29万円」「今支払えば国の救済制度で95%返金する」「守秘義務があるので誰にも相談しないで」など、言葉巧みに誘導してきた。

次ページ行政機関や民間団体なども対策に動き出した
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事