いまだ男性に比べて、家事や子育て、介護などを担うことの多い女性は、台所で料理をしながら飲酒する「キッチンドリンカー」のような飲み方をしないことも重要だと木村さんは話す。
実際、朝から家事に追われて、仕事に行って必死で終わらせ、夕方には子供を保育所や学童などにダッシュで迎えに行き、さらに買い物して帰宅して夕食を作る……といったときに、なんとか家事をするためにお酒を飲む、という保護者の話を聞くことがある。
「純粋に楽しむための飲酒でなく、仕事や家事、子育てなどによる疲れ、心身の不調をごまかしたり、やる気を出したり、ストレスを発散したりするための飲酒は、たいへん危険です。依存につながりやすいからです」(木村さん)
そしてもう1つ、女性の依存症の背景には、別の問題が隠れていることがある。木村さんが解説する。
心の安定を図ろうと飲酒にはしる
「女性のアルコール依存症の場合、もともと過食や拒食などの摂食障害、不安障害やうつ病など他の精神疾患、虐待などのトラウマがある場合が多いのです。心の安定をはかろうとしてアルコールを摂取することが習慣化すると、やはり依存症に陥りやすくなります」
心当たりのある場合は、心療内科や精神科を受診したり、自治体やNPOなどの相談ダイヤルなどに相談を。依存の背景にある根本的な問題を解決していく必要がある。
最後に、木村さんから聞いたアルコールの量を減らす方法をまとめた。できそうなものから始めてみてはどうだろうか。
それでも飲み過ぎてしまう場合は、アルコール依存の専門医に相談することが大切だ。依存症の症状や治療などについては、前回の記事(【アルコール依存症】休日「昼飲み」に潜むリスク)を参照してほしい。
(取材・文/大西まお)
木村 充医師
1970年、東京生まれ。専門領域はアルコール依存症、精神科一般。医学博士、精神保健指定医、精神科専門医制度指導医、精神科専門医。
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