女性の飲酒が増えるに伴って、アルコール依存症も増えているという。久里浜医療センターのデータでも、新規アルコール依存症患者に占める女性の割合は、ここ30年ほどで1.7倍ほどに増加したそうだ。
ただ、女性のアルコール依存症が増えている理由は、単に飲酒者が増えたからだけではない。男性に比べて女性はアルコールによるダメージを受けやすいという「なりやすさ」が根本にあるのだ。
「おおむね女性は男性に比べて小柄で、脂肪が多く筋肉が少ないために水分量が少なく、体内のアルコール濃度が高くなりがちです。さらに女性はアルコールの代謝能力も男性の4分の3程度だと考えられるため、同じ量の飲酒でも影響を受けやすいといえます」(木村さん)
男性より肝臓にダメージを負いやすい
こうした理由から、男性がアルコール依存症になるまでの期間は大量飲酒するようになってから10〜20年ほどかかるといわれているが、女性の場合はおよそ半分の6〜9年とされている。
「若い世代ほど飲酒者の男女差が少なく、女性のほうが早く依存症になりやすいことから、男性のアルコール依存症患者は50代に多いのに対し、女性は30代が最多です」(木村さん)
女性の飲酒リスクが男性に比べて高いのは、アルコール依存症に対してだけではない。女性は男性に比べて肝臓にダメージを負いやすいこともわかっている。
アルコールを摂りすぎるとさまざまな病気が起こるが、そのなかでも肝臓病が最も多く、重篤化しやすい。肝臓に中性脂肪が溜まる「脂肪肝」から始まり、やがて肝臓に炎症が起こる「アルコール性肝炎」となり、最終的には肝臓が線維化して機能しなくなる「肝硬変」に進む。そうなると命にも関わってくる。
「実際、女性は男性より肝硬変になるリスクが高いのです。男性が多量飲酒をすると約20年で肝硬変になるといわれていますが、女性は約12年といわれています。個人差はあるものの、きわめて早く肝硬変まで進むこともあるので、注意が必要です」(木村さん)
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