妊活は女性だけではなく、男性も積極的に取り組むことが不可欠。というのも、原因は男性にある場合もあるからだ。日常生活でできる対策について、男性不妊を専門とする山口大学医学部附属病院泌尿器科教授の白石晃司医師に聞いた。
不妊の原因の約半数は、男性側にあるといわれている。このため子どもが欲しいと思ったら、男性も体づくりを意識することが大切だ。
そもそも男性にとって子どもができやすい体とは、どういう状態を指すのだろうか。それを理解するにはまず、男性不妊の原因について知っておくことが大切だ。
精子のクオリティーは30代がピーク
不妊は「妊娠を望む健康な男女が、避妊をしないで夫婦生活を送っているにもかかわらず、1年間妊娠しないこと」と定義されている。男性側の原因としては、大きく分けると造精機能障害、精路通過障害、性機能障害の3つになる。
この3つのなかで圧倒的に多いのが、造精機能障害だ。
精子に問題がないことが、子どもができやすい体の1つの条件となるわけだが、正常な精子とはどのような状態か。よく知られているのは、精子の濃度(精液中の精子の数)や運動率が正常値であることだ。さらに白石医師はこう話す。
「近年重視されているのは、精子の“クオリティー”、つまり中身です。精子の濃度や運動率は、精子の外見だけを表している指標のようなもの。中身は未知のものも多いですが、現在評価できる1つの方法として、精子DNAの断片化率を調べる方法が普及しています。精子DNAが損傷(断片化)していると、人工授精や体外受精をしても妊娠にいたりにくいのです」
精子DNAの断片化は誰にでも起きているが、その割合が高くなるほど、精子の濃度や運動率は低下し、妊娠率は下がる。実は、白石医師によると「精子のクオリティー、濃度、運動率は30代がピーク。それ以降は女性と同様に、加齢によって妊娠の可能性は低くなっていく」という。
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