そんな症状が表れる病気の1つに爪水虫(爪白癬=はくせん)がある。カビの一種の白癬菌が爪に感染して発症し、進行すると爪がボロボロになる。爪水虫に詳しい埼玉医科大学総合医療センター皮膚科教授の福田知雄医師に治療法と予防策を聞いた。
爪は皮膚の一部で、ケラチンというタンパク質でできている。「指先を保護してケガを防ぐ」「手で小さなものをつかむなど、細かい作業をしやすくする」「歩行時のバランスを保つ」といった役割を担っている。
健康な足の爪は表面がツルツルしていて、薄いピンク色。前から見ると、真っ平ではなく、わずかに湾曲している。これに対して、爪に何らかの問題が起こると、色が濁ってきたり、分厚くなったりする。
その1つが爪水虫だ。「原因となる水虫菌は、ケラチンを栄養分として生きています。皮膚や爪だけでなく、髪もケラチンでできており、頭の先からつま先まで、どこでも感染は成立します。そのなかで一定の割合を占めるのが爪水虫です。すべての爪に感染の可能性がありますが、足の親指の爪が多いです」(福田医師)
10人に1人がかかる爪水虫
過去に全国の皮膚科で行われた複数の調査によると、爪水虫は日本人の10人に1人がかかっていると推定される。男女比は5対5あるいは6対4となっており(足の水虫を含む)、女性も一定の頻度で罹患していることがわかった。患者の年齢別では、男女とも30~40代から加齢とともに有病率が上昇していた。
「爪水虫は、足の皮膚で増殖した水虫菌が爪の周りの皮膚から爪に入り込み、感染が広がります」と福田医師。実際に、前述の調査では爪水虫患者の7~8割は足の水虫も持っていた。足の水虫を長年放置していたり、治療が不完全だったりしたことが、発症の一端となっているというわけだ。
爪水虫にはいくつかの種類があるが、最も多いのは、爪の先端で感染し、徐々に爪の中心に向かっていくタイプ。爪も先端から中心に向かってもろくなっていく。最終的にはその爪全体が厚くなる。
爪に異常が見られても軽症だと自覚症状は乏しいため、異常と気づかずに放置しがちだが、時間とともに爪の肥厚、変形が進む。
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