しかし近年、胃カメラは、苦痛が少なく、精度の高い検査へと機器や技術が進化している。検査の受け方やメリットなどについて、内視鏡検査・治療のエキスパートである内視鏡専門医の平澤欣吾医師(横浜市立大学附属市民総合医療センター消化器病センター内視鏡部准教授)に話を聞いた。
俗に「胃カメラ」と呼ばれている検査の正式名称は、「上部消化管内視鏡検査」だ。スコープの先に付いた小さなカメラによって、胃だけではなく、カメラが通過する喉や食道、十二指腸を含めた上部消化器官内のポリープやがん、炎症などを調べることができる。
胃カメラでわかる病気はいろいろ
胃カメラで見つかる疾患は胃がんなど胃の病気に限らず、咽頭がんや喉頭がん、食道がん、逆流性食道炎、十二指腸がん、急性胃炎、萎縮性胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍など、数多い。
実は、胃がんの原因とされるピロリ菌(H.pylori)感染の有無も胃カメラ検査でわかる(ピロリ菌関連記事:胃がん原因の9割、感染ある人の特徴はこちら)。
「ピロリ菌に感染していると特徴的な胃炎の所見が見られるため、内視鏡の専門医であれば、胃粘膜の状態だけでも感染を疑うことができます」(平澤医師)
胃カメラで胃内にポリープが見つかるケースも多い。ポリープと聞くと、がん化を心配してしまうがどうなのだろうか。
「大腸のポリープと違い、胃にできる多くは『胃底腺ポリープ』という良性のもので、ピロリ菌に感染していない健康な胃粘膜にできることが多いとされています。複数できることも多いですが、胃カメラで見つかっても基本的に切除する必要はありません」(平澤医師)
ただし、約1%程度、ポリープと見分けのつきにくいがんが紛れ込んでいることがある。そのため、専門医による正確な診断は欠かせないという。
ちなみに、胃カメラはスコープを挿入する場所が鼻か口によって呼称が変わる。口からの挿入するものは経口内視鏡、鼻から挿入するものは経鼻内視鏡と呼ばれている。
「痛い」「苦しい」といったイメージがある胃カメラだが、つらい思いをせずに受ける方法はないのか。
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