胃痛や胃もたれの原因、治療などについて、川崎医科大学 検査診断学(内視鏡・超音波)教授の眞部紀明医師に聞いた。
みぞおちのあたりがキリキリ差し込むように痛くなったり、若いころと違って食後に胃がもたれたり――。胃痛や胃もたれは誰もが経験する身近な症状なので、なかなか受診には結びつかない。どのような場合に受診したほうがいいのか。眞部医師はこう話す。
「胃痛や胃もたれに加えて、高齢である、体重が減った、便に血が混じる、黒い便が出る、貧血があるといった場合は受診を。これらの症状は“アラームサイン”と呼ばれ、胃がんや膵がん、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、膵炎、胆のう炎などの病気の可能性があります。血縁者に消化器系のがんにかかったことがある人がいる場合も、受診をおすすめします」
狭心症や心筋梗塞でも起こる胃痛
一方、60代以下で突然激しく胃が痛くなるような場合は、消化器系の病気以外も考えなければならない。「狭心症や心筋梗塞など循環器系の病気でも急性的な胃痛が起きることがあります」。
消化器の病気か循環器の病気か区別する方法として、以下を挙げる。
「消化器系の病気の場合は、食後など食事と関連して症状が出ることが多いのですが、循環器系の病気の場合は、運動時など体を動かしているタイミングで症状が出たり、同時に胸痛や左肩の痛みなどが出たりするのが特徴です」
また、症状が持続する場合では、糖尿病や甲状腺機能低下症など、消化器系以外の病気の可能性もある。こうした病気では、のどの渇きや頻尿(糖尿病)、疲労感やむくみ(甲状腺機能低下症)など、ほかの全身症状も出やすい。
病院の消化器科では問診で症状や病歴など、血液検査で貧血の有無などを確認するほか、腹部超音波(エコー)検査で胃の状態を診る。さらに前述したアラームサインがある場合は、上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)を実施することもある。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら