【胃痛・胃もたれ】長引く・繰り返す根本原因3つ 重病「アラームサイン」があれば早めに受診を

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眞部医師によると、以前は内視鏡検査をすると、胃潰瘍や十二指腸潰瘍など何かしらの病気が見つかる人が多かったが、近年その割合は大幅に減ってきているという。その大きな理由の1つが、ヘリコバクター・ピロリ菌(H.pylori)感染者の減少だ。

ピロリ菌は胃の中に棲みつく細菌で、過去、衛生環境が整備されていない時代に育った人ほど感染率が高く、現代は感染率が低下している。ピロリ菌に感染すると胃の粘膜が炎症を起こし、そのまま放置すると胃潰瘍や十二指腸潰瘍、胃がんなどを引き起こすことがある。

このため、ピロリ菌検査が陽性だった場合、飲み薬で除菌する(ピロリ菌関連記事:】胃がん原因の9割、感染ある人の特徴はこちら)。

「よく『ストレスで胃に穴が開く』と言いますが、胃に穴が開く、つまり胃潰瘍の原因の多くはピロリ菌感染によるものです。ピロリ菌が胃の中に棲み続けることで、慢性的な炎症状態となり、ストレスなどの刺激で胃潰瘍となるのです」と眞部医師。

胃潰瘍や十二指腸潰瘍の減少によって相対的に増えているのが、「機能性ディスペプシア」だ。ディスペプシアはあまり耳慣れない言葉だが、「消化不良」を意味するギリシャ語が語源。2013年から健康保険による治療の対象となった比較的新しい病名だ。

働く世代に多い機能性ディスペプシア

機能性ディスペプシアは、検査で潰瘍などが見つからなかったにもかかわらず、慢性的に胃の痛みや胃もたれが続いている場合に診断される。従来こうしたケースは慢性胃炎とか、神経性胃炎と診断されてきたが、実は“内視鏡検査で確認できるような炎症は起きていない”ことが多かった。

機能性ディスペプシアは胃の症状で病院を受診した人のうち、約4~5割が当てはまるといわれるほど、患者数は多い。

機能性ディスペプシアの症状を引き起こす原因は主に3つある。それは胃腸の働きの低下、胃腸の知覚過敏、そしてストレスだ。胃腸の知覚過敏とは、胃酸などの刺激によって胃腸の症状が出やすくなっている状態をいう。

「どれか1つが原因となるわけではなく、この3つが関連しあって症状を引き起こすと考えられています。精神的、社会的ストレスが大きく関わるため、働き盛りの世代に多いという特徴があります」(眞部医師)

嫌なことがあったり、緊張する場面だったりで、胃が痛くなるという経験をした人は、少なくないはずだ。ではなぜストレスを感じると胃が痛くなるのだろうか。

「そこに出てくるキーワードは、“脳腸相関”です」と眞部医師は言う。

脳腸相関とは、胃腸と脳が相互に関連していることを示しているもので、脳が自律神経を介して、胃腸にストレスの刺激を伝えていると考えられている。その刺激によって胃腸の運動機能が低下したり、胃腸の知覚が過敏になったりする。

胃の痛みは知覚が過敏になっていることで、胃酸などに敏感に反応して起きていると考えられる。

また、機能性ディスペプシアは虐待など幼少期の成育環境が原因になるという報告もある。

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