経口内視鏡を受ける流れは、検査前に、胃の中の観察をしやすくするため、胃の中の泡を消す消泡剤と胃の粘液を溶かす薬を飲む。のどにも局所麻酔薬のスプレーを吹きかける。
検査室では義歯やコルセット、時計・メガネなどをはずし、普段着のまま(検査着を着用することも)、ベルトを緩めて検査台に横になる。眠るための鎮静薬の注射を受け、リラックスした状態で検査を受ける。
「経口内視鏡は『オエッとなって苦しい』というイメージが強いと思いますが、今はほとんどの医療機関で鎮静薬を使っています。鎮静薬によって意識がぼんやりした状態になり、検査の不安やストレスも和らぎ、うとうと眠っている間に終わります。検査時間も3~5分ですし、痛みや苦しさを感じることはほぼありません。むしろ経口内視鏡が一番、楽に受けられる胃カメラだと思います」(平澤医師)
高機能化で超早期がんがわかる
経口内視鏡は近年、高機能化が進んでいるという。画像は最新機器だとフルズームで約100倍まで拡大観察できるようになり、NBI(狭帯域光観察:きょうたいいきこうかんさつ)と呼ばれる特殊な波長の光を使った観察も可能になっている。
「NBIでは、通常の光ではわかりにくいがん特有の血管構造などを強調させて観察できます。このおかげで、普通なら見つけられない2ミリ程度の“超早期がん”も発見できるようになりました」(平澤医師)
注意点としては、検査後、鎮静薬から覚めて意識がはっきりするまで、30~60分ほど横になって休む必要がある点だ。検査後に車の運転はできないなどの行動制限もある。
一方、経鼻内視鏡では、鼻血を予防する薬を鼻の穴にスプレーした後、ゼリー状の局所麻酔薬を注入する。これでスコープ挿入時の痛みが抑えられるため、前処置として鎮静薬を使用しないケースが多い。
経鼻内視鏡で使用するスコープの直径は約5~6ミリ。経口内視鏡の約半分の細さであることや、スコープが舌の根元に触れないため、嘔吐感が少なく、比較的楽に検査ができる。
「経鼻なら検査を受けている間、医師や看護師と一緒にモニターを見て、会話もできます。検査後の休憩も必要なく、行動制限がない点はメリットですね」(平澤医師)
ただし、鼻腔内が狭いと、スコープが鼻の中を通過する際に痛みが出ることもあるという。また、鼻中隔(鼻の左右を分けている壁)の曲がっている人や、副鼻腔炎や鼻アレルギー、花粉症などで鼻づまりがあると検査できないケースも。鼻腔内の状態によっては、経鼻内視鏡を予定していても、経口内視鏡に変更となるケースもあるという。
何より、経鼻内視鏡は経口内視鏡よりもカメラの性能や画質の点でやや劣り、拡大観察もできないと平澤医師。
「『痛い検査は嫌だが、多少の休憩時間はとれる』という人は経口、『多少痛くてもいいが、休憩時間がとれない』という人は経鼻と、それぞれのメリットとデメリットをよく考慮して決めていただければと思います」
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