「クーラー効きすぎて寒い」は寿命が縮むNG環境 危険な冷え…夏こそ「血流」を重視すべきワケ
なぜなら、心臓よりも高い位置まで湯につかってしまうと、血管が水圧によってギューッと押さえつけられてしまうからです。
水圧がかかることで、手足や内臓の静脈が圧迫され、血液が心臓に向かって一気に移動します(この状態を、医学的には「心臓への静脈還流が増える」と言います)。すると、心臓が血液を送り出すのに無理をしなければならなくなります。
だから、肩までつかって「いい湯だな」と思っていても、体内では、心臓に負担がかかるという「緊急事態」への対応に大わらわとなっているわけです。
ぬるめのお湯で半身浴がおすすめ
おすすめは、みぞおちまでつかる半身浴。これを守るためにも「湯量は腰まで」をルールにしましょう。
さらに気をつけたいのが、お湯の温度です。
高齢者になればなるほど熱いお風呂を好む傾向がありますが、これは皮膚の「温熱感受性」の劣化によるもの。
皮膚の表面には、温点・冷点と呼ばれる温度を感じとるセンサーがあり、この数は年齢を重ねるごとに減っていきます。なかでも、湯船に入るとき、最初にお湯に触れる足先の温点・冷点は、20代に比べ、70代では3分の1ほどに。
その結果、熱い、冷たい、の識別が鈍くなり、子どもなら「絶対ムリ!」と飛び出すような湯温でも、おじいちゃんおばあちゃんは「ほぉう」と吐息をもらしながら肩までつかることができるわけです。
夏場、ちょうどこの時期、本人には「暑い」という自覚がさほどないのに、熱中症で倒れる高齢者が多いのもこのためです。
しかも、長時間クーラーにあたって手先、足先が冷えている状態から長風呂することは、疲労、脱水、血管虚脱(血管がひろがりすぎて、血流が落ち、脳へ必要な酸素や栄養素が届かなくなる)といった症状を引き起こす可能性があり、かなり危険な状態。
湯温は自分の肌感覚だけではなく、「数値」で見て把握しておくべきです。
温度は、ぬるめのほうがリラックス効果が高まるということがわかっていますので、ぬるめがおすすめです。
ぬるめの湯温とは、夏なら38℃、冬なら40℃。一方、41℃以上が熱めになります。
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