ここがヘンだよ「円安」をめぐる日銀と政府の分業 緩和維持で進む円安を為替介入で阻止する矛盾

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日銀は「物価の番人」と呼ばれる。円の価値安定を担いつつ、対外的な価値である「為替」にはノータッチという建前だ。だが、現実には為替と無縁とはいかない。

1000円札と日の丸
国内(物価)と国外(為替)で分裂(写真・ロイター)

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日銀の金融政策決定会合(7月27、28日)を目前に控え、外為市場で円安が再燃。政府(財務省)が牽制に乗り出す事態となった。2022年秋、政府は円安阻止で円買い介入に踏み切ったが、状況次第では再介入もありうる。

政府が為替を安定化させるのは当然として、一方で、円安は日銀の金融緩和の効果でもある。金融政策の効果を打ち消すかのような政府の為替政策。こうした矛盾が生じるのは、金融・為替政策を総合した「通貨政策」が不自然に分別管理されているからだ。

円安によって、「通貨政策」を分別管理する日本の限界が露呈したとも言える。

「2023年は円高」のはずが…

円相場は2022年10月、1ドル=152円近くまで売り込まれた。対ドルで約32年ぶりの安値まで下げたのは、日銀が大規模緩和を維持する一方、アメリカ連邦準備制度理事会(FRB)がインフレ抑制のために急ピッチで利上げを進め、日米金利差が大幅に拡大したからだ。

外為市場では「金利差を狙った投機的なドル買い・円売りが活発化した」(為替ブローカー)とされ、2022年初めに114~115円台だった円は、秋に向けて30数円という空前の幅で下落するに至った。

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