キャンプで要注意!草むらに潜む「マダニ」の恐さ 無理に取ろうとすると体がちぎれて頭部は残る

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SFTSは、マダニにかまれて感染してから6日から2週間たった頃に、高熱が出て血小板が減少し、さまざまな臓器の機能が低下する。原因不明の発熱や胃腸症状、頭痛、筋肉痛などさまざまな症状が出る。特効薬がないため、対症療法でしのぐしかないのだが、致命率は30%と高率だ。

ダニ脳炎(TBE)は、かつてはヨーロッパのアルプス地方や、旧ソ連邦内での発生が報告されてきたが、近年は北海道での発生が報告されている。海外での報告では35〜64%の人が神経の後遺症を起こしたり、死亡する恐ろしい感染症だ。同じく特効薬はない。

幸い世界では予防ワクチンがあり、リスクの高い人を対象に広く用いられてきた。日本では未導入だが、ファイザーが製造承認申請中で、医薬品医療機器総合機構(PMDA)が審査している段階だ。

マダニにかまれてしてはいけないこと

SFTSはワクチンも特効薬もないので、とにかく刺されるのを回避するのが一番だ。

国立感染症研究所が公表している「マダニ対策、今できること」には、マダニから身を守る服装や方法が詳しく書かれている(写真:編集部撮影)

登山ややぶなどを歩いた後、帰宅したらまず着替えて、すぐに洗濯に回し、入浴しよう。その際に、必ず全身に虫に刺されたような跡がないかチェックしてほしい。

マダニはかまれていても気づかない人も多い。血を吸って膨らんでいれば肉眼でよく見えるが、膨らんだホクロやイボと見間違えることもある。

万が一かまれているのを見つけたら、無理に取ろうとしてはダメだ。マダニはセメントのような物質を出して、自分の頭をがっちり皮膚の中に固定してしまう。無理に取ろうとしても胴体が引きちぎれて頭部は残り、そこから感染が進むだけだ。

落ち着いて皮膚科を受診して除去してもらい、今後の対策や治療について相談しよう。

なお、マダニの仲間であるツツガムシも、「ツツガムシ病」を引き起こすことで有名だ。私の故郷の新潟県でも信濃川の河川敷の草むらで多く発生していたので、今も草むらには警戒心を強く覚える。こちらはウイルスでなく、リケッチアという病原体による。

実は悪さをするのは幼虫だけだ。ツツガムシの成虫は地中でおとなしく生活しているのだが、幼虫のある一時期だけ地上に出てきて動物や人の体液を吸う。

幼虫は体長わずか0.2mmほどで、肉眼で見つけるのは困難だ。かまれると1cm程度の大きなかさぶたになり、それで異変に気づく人が多い。陰嚢の裏など、見つけにくいところを刺す傾向がある。

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久住 英二 立川パークスクリニック院長

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くすみ えいじ / Eiji Kusumi

1999年新潟大学医学部卒業。内科専門医、血液専門医であり、旅行医学やワクチンに関する造詣が深い。国家公務員共済組合連合会虎の門病院で内科研修ののち、臍帯血移植など血液がんの治療に従事。血液内科医としての経験から感染症やワクチンにも詳しく、常に最新情報を集め、海外での感染症にも詳しい。2024年12月に立川高島屋SC10階に内科、小児科、皮膚科の複合クリニック「立川パークスクリニック」を開業した。

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