キャンプで要注意!草むらに潜む「マダニ」の恐さ 無理に取ろうとすると体がちぎれて頭部は残る
発症はやはり7〜10日後だ。全身倦怠感、食欲不振とともに頭痛、寒気などに見舞われ、体温は数日で40℃にも達する。顔面や胴体に発疹が見られ、重症になると肺炎や脳炎を引き起こす。
ただし、SFTSなどのウイルス感染症と違って有効な抗菌薬がある。また、かまれてから病原体に感染するまでには数時間かかるため、アウトドアの後は落ち着いて対策を講じよう。
蚊が「熱帯風土病」を拡散させている
私たちの健康を脅かすもう一つの小さな敵が、蚊だ。
世界的な気温上昇にともない、蚊の生息域が変化している。日本でもヒトスジシマカ、いわゆる「ヤブ蚊」の生息域が徐々に北進し、現在では本州全域に分布するようになった。
まだ北海道はギリギリセーフに見えるが、ヒトスジシマカの定着条件は年間平均気温11℃以上とされる。すでにそれを満たしている函館市、札幌市や小樽市周辺は、いつ定着してもおかしくない。
このヤブ蚊が媒介するのが、熱帯地方の風土病とされてきたデング熱だ。
2014年の「東京・代々木公園近隣で複数の人がデング熱に感染した」とのニュースは衝撃的だった。感染源は、海外からの渡航者、あるいは海外旅行に行ってきた日本人だろうか。詳細不明なままだったが、デングウイルス感染者を刺したヒトスジシマカがほかの人を刺し、感染が拡大したと考えられている。
熱帯地方ではネッタイシマカが主な媒介動物だが、日本にも広く分布するヒトスジシマカもデング熱を広げうるのだ。
アメリカではすでに、テキサス州やフロリダ州にデングウイルスが定着し、地元で感染したデング熱患者が定期的に発生している。
コロナ禍が明け、たくさんの方が海外から日本を訪れている。いつデング熱が持ち込まれ、患者が発生してもおかしくないし、日本で定着する可能性もある。
ちなみに赤道を越えて反対側のオーストラリアでは、日本脳炎が全土に広がった。かつては北部の一部で報告されていただけだったが、気温上昇で南部まで蚊の生息域が広がったせいだ。
日本脳炎も代表的な蚊媒介感染症で、主に感染した豚を刺した蚊が人を刺し、感染する。
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