キャンプで要注意!草むらに潜む「マダニ」の恐さ 無理に取ろうとすると体がちぎれて頭部は残る

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日本でウイルスが同定されたため日本脳炎という名前になっているが、アジアに広く分布する。

日本では予防接種が定期接種となり、患者数が大幅に減少した。それでも、豚の抗体保有状況を見ると(食用の家畜は半年ほどで殺されるため)、関東から九州の太平洋側ではほとんどの豚が抗体を有している。

「今年の夏に」感染したことがある、という意味だ。今日でもウイルスが広く分布していることがわかる。

虫よけスプレーの選び方

ダニや蚊を避けるには、肌の露出を極力避けることが大切だ。やぶの中を進むようなところでは、パンツの裾はソックスにインするほうがよい。

虫よけスプレー等は、きちんと選べば市販されているもので十分効果がある。容器の裏をみて、必ず成分を確認しよう。有効成分の濃度と効果の持続時間が比例するので、ディートなら30%、イカリジンは15%の最高濃度のものを選べば、8時間ほどは効いてくれる。

皮膚の露出部分に塗布して使うことが大事なので、ローションや液体スプレーがお勧めだ。手に取って、塗り込むようにしよう。ガスで噴出するスプレータイプは、ほとんどが風で流れてしまい、皮膚にはあまり付かない。

いずれにしても汗をかけば流れるので、一定時間が過ぎたら塗り直すこと。これら以外の成分で、アロマオイル系などさまざまな虫よけ剤も市販されているが、効果は不確実だ。

加えて、防虫成分を繊維に付着させた衣服やソックスが販売されており、有効なのでお勧めしている。「インセクトシールド」はさまざまなブランドから防虫着として販売されているし、「スコーロン」加工の繊維でできたウェアもアウトドアウェアに使われている。いずれも「ペルメトリン」という成分で、アメリカの兵服にも使われており、安全性が確認されている。

また、日本脳炎対策には、ワクチン接種が有効だ。

日本では公費で予防接種が行われているが、国立感染症研究所の調査によると40代以上の人では抗体保有率が低下している。

また、北海道では平成28年3月以前は日本脳炎の予防接種を実施していなかったため、それ以前までに幼少期を北海道で過ごした人は日本脳炎の免疫がない。免疫のない方が関東以西で暮らす場合は感染リスクがある。

心配なら、大人の方も予防接種を受けることをお勧めしたい。

久住 英二 内科医・血液専門医

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くすみ えいじ / Eiji Kusumi

1999年新潟大学医学部卒業。内科医、とくに血液内科と旅行医学が専門。虎の門病院で初期研修ののち、白血病など血液のがんを治療する専門医を取得。血液の病気をはじめ、感染症やワクチン、海外での病気にも詳しい。

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