見た目、走り、燃費数値といろいろな意味で劇変した5代目のHVモデルに対して、PHEVではさらに躍動的な動力性能を与えた。PHEVはHVの単なるエコ版にとどまらないという強いメッセージだ。長いEV走行距離と大容量の外部給電ができる環境性能に、過去のGTツインターボではないが、走りの要素をたくさん加えて潜在的ユーザーへの選択肢を増やしたわけだ。
今や燃費数値のトップ争いは、トヨタのコンパクトモデル「ヤリス・ハイブリッド」(FFモデルのWLTC値で最大36.0km/L)や「アクア」(同35.8km/L)が受け持つ。ちなみに、今回の公道試乗における試乗で得られた燃費数値は2.0L HVのFFモデルで23.0~24.0km/L台だった。
1997年の初代プリウス以降、トヨタは25年以上にわたり電動化した車両を世界中で販売してきた。トヨタによると歴代プリウスは約505万台が販売され、これにより約8200万tのCO2削減効果があるという。
脱炭素社会との向き合い方を考える
世界中で炭素の大気排出を減らす社会への動きが本格化している。狙いは温室効果ガスの削減であり、クルマ社会で示せばその筆頭が内燃機関車両が走行時に排出するCO2の削減である。
じつのところ世界中の自動車メーカーは「COP3/京都会議」(気候変動枠組条約第3回締約国会議/1997年)における京都議定書の採択前から、省炭素社会に取り組んできた。具体的には走行時の燃費数値を良くしたり、製造時に発生するCO2を減らしたりしてきたわけだ。
また当時から、各国の自動車メーカーや公的機関では水素を動力源とする利・活用の研究を行いながら、いわゆる合成燃料にしても原料のひとつである合成ガスは100年以上前から実用化に向けた開発が続けられている。
こうしたさまざまな活動のなかで、日本政府は2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにするカーボンニュートラル社会を目指すとした。総量を減らす、排出をなくすというこれまでの活動に加えて、人が出す温室効果ガスの排出量から、自然(森林など)が取り込む吸収量を差し引きし、実質的にゼロにする、これをカーボンニュートラルと定義づけた。
もっともこの考え方は理想論に近い。専門分野に携わる方ならおわかりのとおり、樹木がCO2を吸収できる時間帯は限られており、総量も多くは見込めない。だからこそ、排出段階での総量を減らす/なくすという取り組みが大切になる。クルマ社会においては、乗って楽しく、走らせて優しいのりものを増やすことが重要だ。
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