「新型プリウス」試乗、エコカー脱却のメッセージ PHEVはGTグレード復活を感じる快速ぶり

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2.0プラグインハイブリッドシステム
2.0Lプラグインハイブリッドシステムの概要(写真:トヨタ自動車)

動力性能は2.0HVに対して200%のゆとりと、そして絶対的な速さがある。細かくみると信号待ちからの発進時に多用されるシーン(アクセル開度10~15%程度)ではそれほど差がつかないが、20km/hあたりから踏み込み量を多くした際の反応と加速度は断然、2.0PHEVが優れる。実際、多人数乗車時や坂道での何気ない走行シーンでもゆとりを体感する機会が多かった。

高速道路では、もやは激速。加速タイム(0-100km/h加速は6.7秒)の上では「あ、速いですね」程度だが、ドライバーの体感加速度は完全にスポーツモデル級。PHEVはHVに対して大容量バッテリーで長いEV走行距離(87~105km)と、高いシステム出力(223PS)を得ているが、言い換えれば多くの電気を、いつでも電動駆動モーターに供給できるシステムでもある。

サーキットでアクセルペダルの踏み込み方をいろいろと試してみたが、じんわりと20%程度、サッと50%程度、一気に100%、それぞれペダルを踏み込んだ瞬間からおよそ2~3秒間の加速度が強い。

燃費よりも気持ちの良い走りを追求

新型プリウスのサイドビュー
新型プリウスのサイドビュー(筆者撮影)

5代目プリウスの発表時、ハッと驚くようなスタイルをまとったと話題になった。一方、プリウスの代名詞である「優れた燃費数値の達成」はその方向を見直した。いわゆるカタログ上のトップを狙うのではなく、気持ちの良い走りと、優れた実用燃費数値の両立を狙ったのだ。

それでも2.0HV・FFモデル17インチ仕様はWLTC値で31.5km/Lと依然として優秀だが、いずれにしろ燃費数値でトップを狙わなかった事実はプリウス史上初の革新である。

ガマンしないエコカー、これが筆者の2.0HVのイメージだ。対する2.0PHEVは「プリウスGT」的な立ち位置で、走りの性能をグッと高めたモデルだと解釈した。

1980年代中盤、月間3万台以上の販売を記録したトヨタのミドルセダン3兄弟「マークⅡ」「チェイサー」「クレスタ」には「GTツインターボ」というスポーツグレードがあった。標準の2.0Lエンジンに対して2倍のパワーをDOHC&ツインターボ化で得ることで地味派手感を演出する。トヨタの狙いは見事に当たり、ラグジュアリー系セダンにもスポーツモデルならぬGTグレードの支持層があったようで、外観をそれほど大きく変えなかったこともありコンスタントに販売台数を伸ばした。

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