「新型プリウス」試乗、エコカー脱却のメッセージ PHEVはGTグレード復活を感じる快速ぶり

✎ 1〜 ✎ 106 ✎ 107 ✎ 108 ✎ 最新
拡大
縮小
新型プリウスのインテリア
新型プリウスのインテリア(写真:トヨタ自動車)

ここは他社のHVも同様で、従来型にしても同じだ。アクセル開度とバッテリーのSOC(State Of Charge:充電状態を表す指標)次第でエンジン始動タイミングが決まるわけだが、新型プリウスでは2.0HV用としてハイブリッドシステムを新規に開発したことでEV走行時間を増やした。加えて、モーター制御も見直されタイヤの一転がり目から力強く、歩くような微速でも滑らかだ。

乗り心地は上質で、路面の状況が悪くなるほど良さが光る。サスペンションの取り付け剛性を高めつつ、直径の大きなタイヤを履かせ乗り心地と操縦安定性の両立を図った。ここは第2世代となったTNGAプラットフォームの効果も大きい。

195/50R19タイヤを履いた専用アルミホイール(写真:トヨタ自動車)

具体的には従来型のタイヤサイズ195/65R15から40mm以上大きい195/50R19(677mm)に合わせた“いなし”をダンパーや各ブッシュ(アームなどの結合部分に使われる衝撃緩和材)で生み出して、大きな凹みを通過した際に発するボディの揺れを一度で収束させている。

高速道路では従来型にはない速さを実感。本線合流時の加速や前走車の追い越し加速では、アクセル開度をそれほど深めなくとも求める加速度がスッと生み出せた。

新型の1.8HVと2.0HVで求める加速の達成度(時間あたりの加速度)を比較してみると筆者の体感値ながら、本線合流時の加速で150%、前走車の追い越し加速で200%と、いずれも2.0HVが素早いと感じられた。

システム出力を比較すると1.8HVの140PSに対して、2.0HVはFFで196PS(4WDは199PS)と40%以上の差がある。このため当然ながら絶対的な加速力は2.0HVが上だ。これはサーキット試乗でも確認済み。

しかし、2.0HVは前述した50%以下のアクセル開度で速さが実感でき、満足できる加速度が速度域を問わず生み出せる。ここでの要はアクセル操作に対して従順に反応する新しいハイブリッドシステムの存在で、1.8HVに残るラバーバンドフィール(エンジン回転が先行し加速度が追いつく)は2.0HVにはほぼ存在しない。

スポーツモデルのような速さを持つ2.0PHEV

2.0PHEVのリアビュー
2.0PHEVのリアビュー(筆者撮影)

もうひとつのおすすめグレード、2.0PHEVを同じ場面で試乗する。市街地での乗り心地は2.0HVに対して25~30%程度、硬めだ。大きな凹みを通過した際の収束こそ2.0HV同様、一度で収まるものの、ガツンと体感する突き上げは大きく、とくに後輪サスペンションからの入力が強い。

2次バッテリー
試乗会にはカットモデルも用意され、2次バッテリーを搭載した後軸付近も詳しく見ることができた(筆者撮影)

開発陣によると、1.8HV→2.0HV→2.0HV 4WD(E-Four)→2.0PHEVになるほど乗り味は硬めになるとのこと。2.0PHEVでは後軸付近に重量物である13.6kWhの2次バッテリーを搭載するため、リアまわりを中心に強化しているという。

次ページスポーツモデルと遜色のないPHEVの速さ
関連記事
トピックボードAD
自動車最前線の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT