日本人は「我慢のサウナ」「高温、熱波」なぜ好むか 「読む力のプロ」が考察!「日本サウナ」の問題点

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わたしは、非常に熱い日本のサウナ体験を否定しているわけではない。それはそれで素晴らしい。でも、高温に偏ったサウナが多すぎるようにも思う。

もう少し低めの80度ぐらいの温度設定で、ロウリュを堪能できる施設もたくさんあればいいのにと個人的には考えている。

冒頭に書いたように、熱さを乗り越えて我慢する「達成快感」だけでなく、サ室で気持ちよく蒸気を浴び続けるという「状態快感」も楽しみたいのだ。

「状態快感」のサウナが、日本にももっと増えてほしい

日本国内でも新しめで評価の高いサウナは、そういう方向性に進んでいるところも増えていると感じる。

超有名なところでいえば、長野の野尻湖畔にある「The Sauna」はまさにそうだ。サ室の温度は80度ぐらいで、湿度がたっぷり。薄暗くて静かでじっくりと「状態快感」を楽しめ、外に出れば川から引いた最高の冷水風呂が待っている。

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長野の浅間山の麓に、「菱野温泉 薬師館」という温泉旅館がある。風呂に行くのに登山電車に乗るという趣向で、「トロッコ温泉」という異名もある。

このトロッコ温泉に今年初め、「TOJIBA」という小屋サウナができた。

ここは湿度のバランスに力を傾けていて、サ室に入るとまるで全身がしめり気をまとっているように感じる。

それほどまでに湿度が高い。とても優しい。いつまでも入っていられるように感じられる。

2時間コースの最後には、大きなジョウロにたっぷりの水をロウリュしてくれるサービスがあり、これもいい。

出れば冬には温度9度ぐらいにまで下がる大きな水風呂があり、その向こうには浅間山がそびえている。最高だ。

こういう「状態快感」のサウナが、日本にももっと増えてほしいと思う。

佐々木 俊尚 作家・ジャーナリスト

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ささき・としなお / Toshinao Sasaki

1961年兵庫県生まれ。早稲田大学政治経済学部中退。毎日新聞記者、『月刊アスキー』編集部を経て、2003年よりフリージャーナリストとして活躍。ITから政治、経済、社会まで、幅広い分野で発言を続ける。最近は、東京、軽井沢、福井の3拠点で、ミニマリストとしての暮らしを実践。『レイヤー化する世界』(NHK出版新書)、『そして、暮らしは共同体になる。』(アノニマ・スタジオ)、『時間とテクノロジー』(光文社)など著書多数。

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