猛烈に熱いのを我慢してきたので、その後の水風呂や外気浴は当然気持ちよいのだが、しかし爆風ロウリュのおもしろさの主軸は、テレビで昔やっていた「熱闘風呂」みたいなもので、我慢して耐え抜くエンターテインメントではないか。
フィンランド式は「長時間室内にいても楽しめる場所」
もともと第1次~2次サウナブームにはロウリュ設備はほとんど存在せず、ひたすら温度を上げて熱さを我慢するタイプの施設が多かった。
サウナ用語で言う「昭和ストロングスタイル」である。昭和ストロングなサウナは、とにかくひたすら「我慢」の世界である。
日本の伝統的なサウナにはテレビが設置してあるのが一般的で、なぜサウナでわざわざテレビを観るのかといえば、気をまぎらわせて熱さを耐えるためである。「12分計」などの時計があるのも同じで、時間の経過をひたすら我慢するためだ。
こういう文化が、現代のサウナにもかなり引き継がれていて、せっかくロウリュの設備があるのにサ室が熱すぎるところが多い。
これは、テントサウナや小屋サウナ、バレルサウナなどのアウトドア系にも共通していて、狭いサ室にストーブをガンガン焚いて非常に熱い施設が多い。熱すぎて、せっかく水桶があってもロウリュする気が起きなかったりする。
そう考えているときに、書籍『究極の「サウナフルネス」』が刊行された。本書によると、「フィンランドのサ室の温度は平均60~80度」だという。かなり低い。
「サウナ室が熱すぎると、サウナのいちばんの醍醐味であるロウリュの対流熱を楽しむ余裕がなくなる」という。
つまり、「サ室」を「我慢の場」としてではなく、「長時間室内にいても楽しめる場所」として捉えているのだ。
そのため、フィンランド人はサ室での呼吸のしやすさもとても重視しており、たとえば入り口のドアは必ず下が数センチ空いており、つねに外の新鮮な空気を取り込めるようになっているという。
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