1日10分で体が変わる循環系ストレッチの威力 体脂肪率・骨密度・自律神経のバランスも改善

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運動習慣のない人やスポーツの苦手な人でも、短時間で効率よく健康に(写真:Fast&Slow)
高血圧、高血糖、肥満などが気になるという人が増加傾向にあり、これを放置すると心疾患や脳血管疾患、糖尿病に繋がり死亡リスクが跳ね上がります。しかし特効薬はまだなく、有効と言われる運動の習慣化も進んでいません。
こうした状況を鑑み、医師監修のもと米国スポーツ医学会認定運動生理学士でもある中野ジェームズ修一氏が上梓した『血管を強くする 循環系ストレッチ』の内容の一部を改編し、紹介します。
前回:1日10分で血圧・血糖値に効くストレッチの正体(7月22日配信)

血管の幹線道路がほぐれるから巡る

運動習慣のない人やスポーツの苦手な人でも、短時間で効率よく、血流をアップさせられる。これが循環系ストレッチの最も優れた特徴です。その効果を引き出す秘密は「動かす部位」にあります。

IT化や家電の進化などにより、私たちの日常生活からは体を動かす機会が激減しました。肩甲骨・脊柱・股関節など、本来は大きく動かせる部位の動きが小さくなったことで、それらを動かすために使われる筋肉はうまく使われなくなって、どんどん硬く縮むように。

じつは、この3カ所のそばには「幹線道路」とでも呼ぶべき大きな血管に加え、リンパも集約されています。リンパは静脈から血液の老廃物を受け取る、体の中で下水道のような役割を担うものです。つまり血液を効率よく循環させるなら、活躍の場が減った重要な関節を積極的に動かすことが最も効果的なのです。

関節を動かせば血流が復活し、硬く弱くなった血管や筋肉は弾力を取り戻します。さらには、すみずみの細胞まで血液を届ける毛細血管もジワジワと広がり、酸素と栄養素がたっぷりの血液が全身を巡る。循環系ストレッチを続ければ血管の機能は向上し、こりや痛み、冷えといった悩みの解消にもつながります。

循環系ストレッチの具体例の1つ(出所:『血管を強くする 循環系ストレッチ』サンマーク出版)

<循環系ストレッチ モニターデータ 体脂肪が減った>

糖尿病患者の運動療法の実施状況の調査によると、運動の維持、継続に必要なのは「時間」だと6割の患者が答え、また運動を実施していない患者も4割が「時間がない」ことを「やらない理由」として挙げています。

1回5〜10分でできる循環系ストレッチは、しっかりとした体脂肪や体重の減少効果まで確認できました。まず46歳の基礎疾患のないモニターは、1カ月の実践で下肢の筋パワーが向上し全身の体脂肪が3.4%減少という結果が。67歳のモニターは、内臓脂肪が3.6%減少しました。ほかにも2型糖尿病、肥満、高血圧を抱える68歳のモニターが3か月間実践したところ、体脂肪が5.4%減少しただけでなく体重が6.2㎏減。

皮下脂肪や内臓脂肪は血液ドロドロが続いた結果ということもあり、血液や血管の状態を改善する効果が期待できる循環系ストレッチには、体脂肪率を下げる効果も期待できることがわかりました。

「肥満と高血圧があり、悪玉コレステロールの数値が高かった50代男性も、3か月実施後、体脂肪がしっかり落ちて筋肉量は増加しました。もともと運動習慣のない方ほど、体脂肪減の傾向が。いずれのモニターも、治療や食事の指導は変えずに実施した結果だけに、このような変化はかなりポジティブに受け止められます」(田畑医師)

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