そもそも積極的な人が多いお国柄で、「恥ずかしがりやで引っ込み思案でいること」はキャリアやビジネスに致命的な影響を与えるため、その原因や解消法を科学的にリサーチする研究機関などがいくつもあるというから驚きだ。
そのひとつ、インディアナ大学サウスイースト校にあるShyness Research Institute。代表のバーナード・カルドゥッチ教授によれば、「恥ずかしがりやの人は、つねに自分の目の前に鏡があるようなもの」なのだという。言われてみれば確かにそのとおり。つねに「自分が人からどう見えているのか、これを言ったらどう思われるか」といったことばかり気にしてしまう。要するに自意識が過剰で、「他人にいい印象を与えられないのではないか、嫌がられるのではないか」という恐怖心にとらわれてしまうのだ。
そんな臆病な自分に決別すべく、教えを請うため門をたたいた相手が“最強のネットワーカー”、ジョン・レビーさんだった。たぐいまれな人脈力が評判を呼び、『ニューヨーク・タイムズ』や『フォーブス』など有力メディアに次々と取り上げられる異色の人物だ。
4月中旬、レビーさんが待ち合わせの場所に指定したのは、マンハッタンのチェルシー地区のおしゃれな会員制クラブ。「クラブ」といっても、日本のオジサマ向けや若者向けのものとは違う。会員が食事や仕事をしながら交流できる場だ。ヒップなたたずまいのビルの屋上にはプールがあり、その脇のおしゃれなオープンバーはフツーの会社員とは一線を画した、パワーエリート然とした人々で埋め尽くされていた。
さて、このレビーさん、いったい何者なのかと言えば、これが説明が難しい。30代半ば、有名女性誌に「独身イケメン男子」としてノミネートされたほどの容姿を持ち、お金持ちのお坊ちゃまでもある。裕福な芸術家の両親のもとに生まれ、彼らから受け継いだマンハッタンの大邸宅で「秘密のパーティ」を定期的に開き、そこから生まれる人脈、ネットワークやビジネスのノウハウを生かして、企業のコンサルなどをしているらしい。
コミュニケーションは人を幸せにする
「秘密のパーティ」には、有名なセレブやパワーエリートたちが集い、お互いを知らない人々が社交をし、ネットワークを広げるのだという。
なぜこんなことをするのか。それは「人と人とのコミュニケーションは人を幸福にするから」だという。ウェークフォレスト大学のフリーソン教授の研究によれば、「どんなに内向的な人間でも、人と話をしたり、自分の主張ができるように振る舞うことで、ポジティブな気持ちになれる。ほとんどの人は、人と付き合ったり、触れ合うことで、幸せを感じることができる」そうだ。
さらに、もうひとつ理由がある。それは「『人脈』というビジネス上最大の資産を、どのように築くことができるのか」というテーマを追求することだ。人は他人にどのような影響を与えたりひかれ合うのか。そんなさまざまな人間関係を観察して、スキルやノウハウを実験し実践するための場でもある。
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