レビーさんの「ネットワーク理論」はユニークだ。一般的なネットワークは、自分が中心になって放射線状に人脈を広げる「放射線型」のネットワークだ。
しかし、レビーさんは、自分の友達や知人がさまざまな人とつながることで、自分ともつながってくる「フルコネクト型」と言われるネットワークを作ろうとしている。こちらのほうが、密で強固なつながりができるからだ。
たとえるなら、一方通行的に情報が発信される「マスメディア型」ではなく、知人同士が自由に結びつき永遠にネットワークの輪が広がる可能性のある「ソーシャルメディア型」のほうが、効率的に人の輪が広がり、より結びつきの強いコミュニティができるといった考え方に近いだろう。自分だけにメリットがあるのではなく、すべての人が同様に人脈を享受できる互恵的な関係だ。つまりレビーさんは、自宅を舞台に「リアルソーシャルネットワーク作り」という実験をしているとも言えるだろう。
「秘密のパーティー」の参加者は毎回多彩だ。芸術家、ノーベル賞受賞者から起業家までさまざまなジャンルの人々が集う。そうした人たちとの人脈も、レビーさんはゼロから築いてきた。レビーさんを観察していると、つねにだれかと話している。有名なデザイナーやテレビのプロデューサーなど、積極的に話しかけて、気付けばあっという間に「知人」になっている。特に有名人にこだわるわけではない。特別なユニークな才能や、なんらかの磁力を持った人を発掘し、アプローチしていく。
私が「恥ずかしさを克服できない」悩みを告白すると、いくつかのアドバイスをくれた。そのうちの3つを黄金則としてご紹介しよう。
知らない人に接するとき、常に頭に浮かぶのは、「この人に話しかけたら迷惑だろうな。きっと私なんかと話したくないんだろうな」という考えだ。これは童話『裸の王様』の話と同じく、間違った思い込みなのだ。
心理学的に言うと、「多数の無知(Pluralistic ignorance)」という現象にあたる。たとえば学校の授業で、「ほかの人はみんなわかっているだろうから、自分が質問したらやばいかな~」などと思い込み、質問を躊躇するのと同じだ。実は、ほかの人も自分と同じで理解していなかったりする。『裸の王様』でも、本当は誰も王様の洋服は見えていないのに「皆、王様の服は見えているんだろうな」と思い込んでいた。この間違った「錯覚」を脱する必要がある。つまり、「皆、話しかけられたいのだ。自分が恥ずかしいのではなく、相手が恥ずかしい」と思い込めばいいのだ。
前述のカルドゥッチ教授の言う「自分の前にある鏡」をぶち割るのも恥ずかしさ克服のカギとなるが、もうひとつ割っておきたい「鏡」がある。それは「会話の鏡」だ。こちらでは、会話は大抵「How are you?」で始まるが、「Great. Thank you.」などで終わってしまうと、会話が続かない。「どこから、来たの?」「日本です」「……(沈黙)」のパターンだ。この質問を鏡に映して返すかのような「おうむ返し」は、会話を袋小路に追い詰める。その代り、質問に対する答えの中に彩りやフックとなる情報を入れ込んでみよう。相手の興味をそそるような話題や情報を入れ込むことで、会話が前に進んでいく。たとえば、こんな感じだ。
穴場レストラン情報、食べ物、旅行の話などは、誰にでも興味を持ってもらいやすい話題だ。
勇気を出して話しかけてみた結果、相手が興味を示さないということもよくあるだろう。でも、それでくじけてはいけない。「So What?」(それが何?)と思うくらいの気持ちが大切だ。100人と話をしたら、そのうちの2割か3割は「つれない」反応だったりする。これは当たり前だ。恥ずかしがり屋の人は、特にそういう「失敗」を気にしすぎて自分を責める傾向にある。誰からも好かれる人などいないのだ。失敗があるから成功もある。「失敗」を繰り返すことで恐怖心が薄れてくる。
レビーさんの貴重な3つのアドバイスを実行に移すべく、「秘密のパーティー」に特別に招待してもらった。「恥ずかしがり屋」は克服できたのか? その潜入記は、次回に!
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら