では、その「高さ」には、どんな種類があるのか。典型的なものは、大きく分けて次の3つです。
・伝え手が下で、受け手が上 〈下意上達型〉
・伝え手と受け手が同じ高さ 〈対等型〉
「意識のうえでの上下関係」といっても、ほとんどの場合は、社会的な関係性を反映することになります。ですから、もしそれがお互いにとって自然なものであれば、文章やお話でも同じ関係性に乗るようにするとスムーズに届きやすくなります。
ただ、「隠れ上下関係」には注意しなくてはいけません。
コミュニケーション関連の本などに、たまに「相手を理解してあげて、対等に話をすることが大事」というようなことが書かれていますが、じつはこの姿勢はそもそも対等ではありません。
「理解してあげる」という姿勢は、結局、無意識のレベルで「自分(伝え手自身)」を相手(受け手)より上位に置いています。対等のつもりでも、受け手には見下しているように受けとめられてしまう可能性があるのです。
先ほどの「見下したような感じが気にくわない」がもっとも起こりやすいのは、じつはこのケースだったりします。
相手が不特定多数の場合は?
さらにひとつ、大きな問題があります。受け手が1人の場合なら、先ほどの3つの関係性のどれかを意識すれば、それで事足ります。しかし、イベントの案内文などのように、受け手が不特定多数、つまりはいろんな立場の人たちである場合はどうすればいいのか。
「上意下達型」にすれば、本来「上位」におくべき人に受け入れてもらいづらいし、「下意上達型」にすれば、「下位」の人に気持ちのわるいものになる。「対等型」にすれば「上下」の人に受け入れられない……。
まさに「こちらを立てれば、あちらが立たず」です。こういうときは、「人」ではなく、「話題を置く高さ」を変えます。
話題自体を意識のうえで高い位置に置いて、伝え手である自分と、受け手とで、それをいっしょに見上げているようなコミュニケーションの仕方をするのです。
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