伝え下手な人がハマりがち、話し方の「落とし穴」 自分が「伝えられる側」になってみるとわかる?

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いったい、伝えるコミュニケーションは、どんな構造になっているのでしょうか。といっても、けっして小難しい話ではなく、要は「私たちが日ごろ、どんなふうにコミュニケーションをしているか」ということなのですが……。こういわれて、多くの人たちがまず思い浮かべるのは、下のような構図でしょう。

(『伝え方——伝えたいことを、伝えてはいけない。』より)

登場人物はふたり。ひとりは、なにかを伝えようとする「伝え手」。もうひとりは、それを受けとる「受け手」です。この関係のなかで、「伝え手」は「受け手」に向かってなにかを「伝えよう」と働きかけます。

その結果、うまく「受け手」が納得したり、共感したりすれば「伝わった」となる……。こうしてみると、ごくふつうのことを語っているだけで、おかしなところはなさそうに思えます。

しかし、実際の伝えるコミュニケーションは、こんなふうにおこなわれてはいません。

伝え手と受け手の間にあるもの

登場人物がふたりというのは同じです。ひとりが「伝え手」で、もうひとりが「受け手」というのも変わらない。ただ、働きかけのプロセスが少しちがっています。

「伝え手」が「受け手」に“直接”働きかけることはまずありません。「伝え手」はかならず「伝える事柄」をいったん表現します。そして「受け手」が、そこにかかわり(見たり、聞いたり、読んだりする)、そのうえで納得したり、共感したりしたときに「伝わった」となる(「受け手」が複数の場合は、このコミュニケーションが個別に複数箇所で起こる)。

(『伝え方——伝えたいことを、伝えてはいけない。』より)

これが伝えるコミュニケーションの本当の姿です。講演などでぼくがいきなりこの構図の話をすると、「いったん表現する」という部分に戸惑う人もいます。いや、自分はそんなたいそうなことはしていない、と。

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