伝え下手な人がハマりがち、話し方の「落とし穴」 自分が「伝えられる側」になってみるとわかる?

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いわば、伝えるコミュニケーションの主導権は、伝え手ではなく受け手にあるということ。ここに伝えることの難しさ、伝えるコミュニケーションの構造的な課題があります。

受け手自身が聞こうと思えば聞くけれど、聞きたくなければやめてしまう──。伝え手の立場で考えると身勝手にも思える話ですが、なんのことはない、これはふだん私たちが誰しもやっていることです。

すべては「受け手」次第

とくにわかりやすいのは、テキストとのかかわりでしょう。

日々、スマートフォンをのぞきこみながら、私たちはニュースアプリやポータルサイト、SNSなどでたくさんの記事に出合います。あるいは企業に属している人なら、会議資料や企画書、報告書、メールなど、膨大なテキストを手にします。

振り返ってみるとわかることですが、そのすべてを読んでいる人はまずいないはずです。しっかり読むものもあれば、ななめ読みするものもあるでしょうし、少し読みかけてやめたり、タイトルだけ見て読まないものもあったりする。

先ほどの「話を聞く」と同じで、「読もうと思えば読むが、読みたくなければやめてしまう」。それをくり返しています。

そのとき私たちは受け手として、なにを思い、どう判断しているのか。

伝え方——伝えたいことを、伝えてはいけない。
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情報に出くわすたびにまず、それが自分にとって「知りたいこと」や「聞きたいこと」「読みたいこと」なのかどうかを品定めするような目で見ているはずです。そのフィルターに引っかかるようであれば、かかわってみる。そうでなければ、かかわらない。

ここからわかるのは、受け手が受け入れるのは、伝え手が「伝えたいこと」ではなく、自分が「伝えられたいこと」だということです。

そして、当然のことながら、伝え手の「伝えたいこと」と受け手の「伝えられたいこと」は、かならずしも同じではありません。「伝えたいこと」を伝えても、受け入れられない可能性が高い。

伝えるコミュニケーションの構造から考えると、「伝えたいこと」を伝えてもすんなりと伝わらないのは、当然のことなのです。

「伝わる」ようにしたいなら、ひとことで言いあらわす時点で、相手(受け手)が納得して、あわよくば共感するような「伝えられたいこと」へと、「伝えたいこと」を変換する意識が重要になります。 

松永 光弘 編集家

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まつなが みつひろ / Mitsuhiro Matsunaga

1971年、大阪生まれ。「編集を世の中に生かす」をテーマに、出版だけでなく、企業のブランディングや発信、サービス開発、教育事業、地域創生など、さまざまなシーンで「人、モノ、コトの編集」に取り組んでいる。20年あまりにわたって、コミュニケーションやクリエイティブに関する書籍を企画・編集。企業のアドバイザーもつとめており、顧問編集者の先駆的存在としても知られる。自著に『「アタマのやわらかさ」の原理。クリエイティブな人たちは実は編集している』(インプレス刊)、編著に『ささるアイディア。なぜ彼らは「新しい答え」を思いつけるのか』(誠文堂新光社刊)がある。

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