同時に実証実験からは、同チーム北村隆裕氏も確かな手ごたえを感じていた。
「ほぼ告知なしでも凄く人が集まっていました。特に海外の方は喜んでくださっていたので、新しい音楽の発信地になるのではと可能性を感じています」
確かに、ほぼ出演者のSNSだけで大々的な告知がなかったにもかかわらず、通りかかった多くの人たちが音楽に聞き入り、楽しむ姿が見受けられた。外国人観光客の姿も非常に多かった。
「新宿南口の問題ももちろん知っています。今、南口でやっているミュージシャンに限らずですが、なんの心配もなく歌えるこの場所で思う存分歌ってほしいです」
貴島氏はそう期待を寄せた。
そうなのだ。今現在、この場所における一番のメリットというのは、やはりタワーの公認を得られることにあるだろう。
ミュージシャンが感じた「タワーでの路上ライブ」
「まさかこんな歌舞伎町のど真ん中で路上ライブができるとは思ってもいませんでした。新宿駅南口でも路上ライブをやっていますが、やはり注意されて途切れたりもしますし、(警察を)常に気にしながら演奏するのもいやですしね。だからこういった公認で堂々と歌える場所ができるのは本当に嬉しいです」
路上ライブの実証実験で歌ったシンガーのアノエリカさんは、こう語ってくれた。加えて、ここでも「たくさんの人に聴いてもらえる」という手ごたえと、日頃の路上ライブにはない歌舞伎町の独特な雰囲気も感じたという。
たくさんの人が集まり、リスクなく歌うことができる。さらには歌舞伎町の独特の空気感がミュージシャンを際立たせれば、この場所は大きなチャンスを得るための場所になるだろう。
それこそ、繰り返しになるが無名の若手ミュージシャンが「Zepp Shinjuku」(TOKYO)へつながる道をいっきにつかみ取れる場所となるかもしれない。
実際、タワーのプロジェクトチームは今後、そういったミュージシャンたちを集めた音楽イベントをこのタワーで定期的に行っていく計画を立てている。
新たな「音楽シーン誕生の地」となるか
まだ実証実験段階なので、実際にミュージシャンたちにこの場所が開放されれば、様々な問題も起こるだろう。まだまだ詰めなければならない課題はたくさんある。
ミュージシャンが歌うための方法もまだ検討中だ。
実証実験ではすでに活動歴のあるミュージシャンを招待した形となったが、今後、登録制にするのか、時間予約制にするのかなど、いま議論の真っただ中にある。
路上ライブの目的は、主に無名のミュージシャンが自らを売り込みアピールするためのものだ。
であるならば、より多くのミュージシャンに門戸が開かれることを願ってやまない。そして、このタワーの路上ライブから新たなスターミュージシャンが誕生してくれれば、こんなに素晴らしいことはないだろう。
この場所は、日本の音楽シーンを変える場所にも成り得るのではないだろうか。大げさかもしれないが、取材を通してそう期待したい路上ライブシーンがそこにはあった。
*この記事の第1回目:新宿駅南口「路上ライブ"禁止でも聖地"」驚く現実
*この記事の第3回目:「路上ライブを公認!」"柏ルール"に学ぶ3つの視点
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