「部下をダメにする人」が見落とす"人材育成の罠" 「人材を育成する力がない」リーダーはいない

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部下を育成するために必要なスキル、視点とは(写真:foly/PIXTA)
通常業務とは異なる視点が求められる、部下の育成。明文化されたノウハウがないだけに、頭を悩ませる人も多いのではないでしょうか。P&Gを筆頭に数々の著名企業のマーケティングを行い、CMOとして人材育成の現場にも数多く携わったマーケターの音部大輔氏が、自身の経験を基にそんな人材育成の悩みに回答します。
マーケティングの扉 経験を知識に変える一問一答』(日経BP)から、一部抜粋・編集のうえ解説します。
前回記事:「キャリアアップを気にする新人」に伝えたいこと

仕事で大失敗した後輩にかける言葉

【質問】
販促キャンペーンを担当して大失敗した後輩マーケターがいます。先輩として、どのような言葉をかけたらよいでしょうか?

新たな課題に果敢に挑んだ後輩の失敗は、無駄にしたくないですね。先輩として、うまく手助けしたいものです。失敗は事後の活動によって「ただの失敗」と「ラーニング(学びの経験)」に分けられます。

挑戦を通してしか得られない何かを学んでいれば、それは単なる失敗ではなくラーニングです。つまり、成長の源泉である「知識」を獲得しています。時間と労力と資源を使い、失敗したとはいえ固有の知識を得られている。中には、失敗のリスクを踏まなければ得られないラーニングもあるでしょう。

その後輩には、この活動から何を学んだのか、聞いてみてはどうでしょう。何も学んでいなかったり「どうして失敗したか」しか学んでいなかったりすると、次も同じ失敗をしたり、違う方法で失敗したりするかもしれません。失敗した理由は、必ずしも成功する理由と同じではないからです。

成功に比べて、失敗の仕方はたくさんありそうです。「どうしたら成功し得たか」を学べていれば、次回は成功する可能性が高まるでしょう。

そのためには、事前に戦略を明示しておくと活動を振り返りやすいものです。「ごちゃごちゃ言ってないで、勝負は時の運だからやってみなくちゃ分からない」といった一種の思考停止がよろしくない理由の1つに、行動の結果から学びにくいことが挙げられます。勢いだけで実行すると、「やってはみたものの、どうしてこういう結果になったのか理由は分からない」となりかねません。

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