「部下をダメにする人」が見落とす"人材育成の罠" 「人材を育成する力がない」リーダーはいない
今回の経験が次の活動につながり、2度目の挑戦では初戦を戦うときよりも経験値が上がっている状態を目指したいと思います。 それから、経験ごとにラーニングを得るというのは負けたときに限った話ではありません。勝ったときも同様です。なぜ勝てたのか分からなければ、勝ちに乗じることも難しいでしょう。「販促キャンペーンで大失敗」という痛恨の経験から後輩が大きなラーニングを得られるよう、手伝ってあげてください。
人材を育成する力がない…生まれつきそんな人はいない
私は今31歳で、小さな会社でデジタルマーケティングの仕事に従事しています。過去に管理職をしていましたが、人を育成する能力がないように思います。今後もマーケティングの道を進もうと考えていますが、「部下を持つキャリア」と「部下を持たないキャリア」、どちらに進むか考えています。音部さんに、選ぶためのアドバイスを頂けますか?
ご質問に答えるために、私の考える「人材育成の能力と要諦」と「キャリア」という2つの視点からお話しできればと思います。まずは、前者の人材育成からです。
①人材育成の能力
人を育成することに「興味を持てない人」は存じ上げていますが、人を育成する能力が「生まれつき備わっていない人」にはまだ会ったことがありません。
人材育成は「生来の能力」というより、「意志とスキルと環境」が大事だろうと考えます。これはビジネスに必要なリーダーシップのほとんどが生来のカリスマではなく、習得可能なスキルであることに似ています。いずれも一定レベルを超えていくには向き不向きがありそうですが、よほどのレベルまでは習得可能のように思います。
②人材育成の要諦
人材育成では、定期的に成果・進捗をレビューする、信頼関係を構築する、動機づけを意識するといった「HOW」について意識しがちです。「どう実行するか」はとても大事ですが、「何を実行するか」つまり「WHAT」が曖昧だとなかなか完遂しにくいものです。
達成すべき目的を明示し、適切に再解釈するのはとても重要です。それは人材育成でも同様です。うまく人材を育成できた(≓成長した)とは、どういう状態を意味するでしょう。つまるところ「いいマーケター」になってもらえばいいのですが、「いいマーケター」とは、どのようなプロフェッショナルでしょうか。プロフェッショナルは結果が大事だから、いいマーケターとは「成果を出した人」などと定義していると、「選別」はできても「育成」につなげるのは難しいかもしれません。
そこで、階層ごとに必要なスキルやコンピテンシーを明示して、「いいマーケター」の定義を明確にしておくことをオススメします。習得・確立すべきスキルやコンピテンシーが明確なら、どういったプロジェクトからどのような経験を積むべきかが、明らかになると思います。鍛えている筋肉を意識することでトレーニングの効率が変化するように、獲得するスキルが明確であるほうが、OJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング=職場内訓練)の効果も高まります。
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