「部下をダメにする人」が見落とす"人材育成の罠" 「人材を育成する力がない」リーダーはいない

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

同時に、教える側も指導しやすくなり、指導者間の格差も減らせます。

いいマーケターが明確に定義されていることは、マーケター育成の要諦だと言っても過言ではありません。最高マーケティング責任者(CMO)など部門のリーダーがなすべき最重要の仕事の1つであると考えます。私もいくつもの企業でつくってきました。

人材育成に関わる際には、スキルやコンピテンシーのリストを用意してみてください。もしまだ存在しないなら、部門のリーダーたちと一緒につくってみるいい機会かもしれません。

アドバイスとしてはもしも人材育成に「興味がある」のであれば、ぜひスキルを習得してみてください。きっとできるようになります。生まれついての育成者という人もたまにいますが、ほとんどの人は後天的に学んでいくスキルです。

そのためには、いいマーケターを構成する要素を把握し、スキルやコンピテンシーを明示することからはじめてみましょう。完全に網羅的である必要はありません。重要と思われるポイントを考えてみることから始めましょう。部下や組織を持つことで、自身の影響力を大きくできることがあります。組織で働くことの醍醐味のひとつですから、育成に興味を持てるのであればオススメの選択肢です。

もし人材育成にさほどの興味がない場合には、自分自身のプロフェッショナルとしての洗練を追求するのも、とても立派な道です。いずれ、究めた技術・スキルを共有する相手も現れるかもしれません。

OJTを「放置」にしないマーケター育成の重要ポイント

【質問】
マーケターの育成には、何が大事ですか?OJT(On-the-Job Training:職場内訓練)とOFT(Off-the-Job Training:通常業務から離れて行う職業教育)のバランスなど、音部さんのお考えを教えてください。

最近の人事異動でマーケティングに初めて関わるという部下が配属されてきた方や、複数の新人を迎え入れたマーケティング部門などもあることと思います。マーケティングキャリアのいいスタートを切るためには、希望に満ちた本人たちの士気に加え、受け入れ側が用意しておくべきこともあります。

ある企業では「育成への貢献はOJTが70%、上司のフィードバックが20%、研修が10%」といわれ、「(上司による育成努力や、組織による研修制度ではなく)OJTこそが育成だ」という方針が掲げられていました。

この方針が奏功していたかどうか定かではありませんが、OJTがただの通常業務や、ひどい場合には仕事を割り振っただけの「放置」となってしまっては育成とは呼べません。「エネルギーになる炭水化物」や「筋肉を構成するタンパク質」だけでなく、「ビタミン」や「ミネラル」などを摂取することで身体が健やかに維持されます。

同様に、「上司のフィードバックや研修制度などの仕組み」は、育成に大きく貢献する「仕事の経験」を「有意義な経験値」に転換するために不可欠です。触媒的な役割を果たすからです。

次ページ新人育成の3つのヒント
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事