Z世代の「エモい」を大人が共感するためのヒント 明確な定義はないが、押さえたいポイントは3つ

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「エモ」=「ハッピーな共感」は、どのような条件で生まれるのでしょうか(写真:kou/PIXTA)
マーケティングの最⼤の⽬的は、商品やサービスを広く知ってもらうことです。今、そのカギになるのが、「Z世代」。注目すべきいちばんの理由は、その拡散⼒です。
Z世代は⽇常的にSNSを使うことが当たり前の環境で育っています。彼らが商品やサービスについてシェアする。それを知った⼈たちが、また周囲にシェアする。そうして世代を超えて拡散していきます。
では、どんなことを伝えれば彼らがシェアしてくれるのか。『エモ消費 世代を超えたヒットの新ルール』の著者、今瀧健登氏は、「商品の魅力を伝えても、Z世代には刺さらない」と話します。彼らが求めているのは、商品やサービスを通して得ることのできる世界観。「エモ」=「ハッピーな共感」を訴求することで、共感の輪が広がっていきます。

「誰もが共感」からエモが生まれる

「エモ」をひと言で表現すると、「ハッピーな共感」です。

例えば香水について考えたとき、「香りがいい」というのは機能的な話です。そこを「街ですれ違った人が、元カノと同じ香水を付けていた」と訴求し、見た人が「ああ、あのときは楽しかったな」と共感するのが「エモ」です。

あるいは、香水を付けたときに自分で「いい香りだな」と思うだけではなくて、友達に「何の香り?」と聞かれて、「○○のブランドで、○○のお店で買ったんだ」「へえー、いい香りだねー」と話す。そのやり取りがエモです。

花王の商品に、「エッセンシャル」というシャンプーブランドがあります。その中で、詰め替えをせずにぶら下げて使うタイプの商品があります。プラスチックの削減になりますし、中身を最後まで使い切ることもできる、SDGsの観点に沿った商品です。2023年5月にはパッケージが変わった新作が発売され、そのデザインを弊社が担当しました。

企画段階では、まず「お風呂に入っていてエモい瞬間ってどんなときだろうね」といった話になります。

出てきたアイデアの一例に、「子どもを初めてお風呂に入れるとき」というものがありました。確かにハッピーではありますが、僕たちにはほぼ記憶がありません。親であれば自分事として共感できますが、若い世代は自分を反映しづらいわけです。

もう少し共感しやすいところで言えば、「仕事を頑張った後、お風呂に入ってひと息ついて、ビールを飲む」。ただ、これもシャンプーにひも付けづらいという話になりました。

そうしていろいろ考えている中で、お風呂の中でのエモから、お風呂に似たシチュエーションでのエモに発想を移しました。お風呂の中に、別のシチュエーションのエモを持ってくることはできないかという視点です。

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