韓国「BTS」が世界で桁外れの人気を得られた訳 K-POPの海外戦略から考えるマーケティング
東京とアメリカ・ロサンゼルスの2拠点生活を続けて十数年。日本に加えて、アメリカのエンターテインメント市場で仕事をしてきて2020年の潮流を語るうえで外せないのが、世界で支持されるまでになったK-POPグループ「BTS(防弾少年団)」です。
私は博報堂を経て、2011年に「コンテンツブティック」STORIESを設立し、東京、LAの2拠点でミュージックビデオやテレビ番組、CM、ブランデッドエンターテイメント等をプロデュースしてきました。
アメリカで生活を始めてからというもの、エンタメだけでなく、家電・自動車・料理など韓国ブランドの継続的なプレゼンス拡大と、ブランド価値の向上を実感しています。この拡大には製品やマーケティングの質の向上はもちろんのこと、いわゆる韓国製ポップカルチャーの拡大や浸透が相乗効果をもたらしていることが感じられます。
例えばここ15年位の変化の中で、いわゆる家電量販店における売場面積やシェアにおいて、SamsungとLGは別格の地位を築きました。日本から来た友人やお客さんを家電量販のベストバイなどにお連れすると、日本の量販店におけるシェアとはまったく異なる様子に驚く方がほとんどです。
私がつねに重要だと考えていることは、バイアスや感情を持ち込まず客観的に戦況・市場を認識することです。K-POPが海外進出を成功させてきた優れた戦略・戦術や状況から、私たち日本企業が日本のカルチャーや製品をいかに世界に広げていくか、参考になるポイントはしっかり学ぶことが大切だと感じています。
韓国の国内音楽市場は、日本の約2割
韓国の国内音楽市場は5.8億ドル(約580億円)、日本は26億ドル(約2600億円)(出所:「米国トップチャートを制したK-POP、日本音楽産業に勝機はあるのか?」)とされています。韓国では、根本的に国内市場が小さいことが海外進出を後押しする動機となっていますが、20年におよぶ継続的な海外展開の結果、2017年にはK-POP関連ビジネスは47億ドル(約5000億円)の収益を得たとされています(出所:Korea Creative Content Agency・Bloomberg記事)。
つまりK-POPは初めから、海外(アメリカ・アジア・日本)で戦うことを前提にチャレンジが行われているのが最大のポイントです。
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